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§20



 ああ、これで終わった・・・


 お祖母ちゃんが亡くなって3ヶ月が過ぎた。 これを書き始めた頃は、まだラベンダーの季節だった。 今はヒマワリが咲いて、トウキビがおいしい季節だ。 長いようで短かった、お祖母ちゃんと向き合う日々・・・今夜も、もう朝が近いや。


 こういうとき、作家は余韻に浸りながら『あとがき』を書いて、何か印象的な事を言って筆を置くものなんだろう。 でも私は作家じゃないから、日記を閉じてベッドに入る前に今、自分が感じていることを少しだけ書いておこう、と思う。


 これはお嬢様として生まれた女の子が、

 外国で恋をして世の中を知り、

 好きだった人を失い、

 その悲しみの果てに本当に大切な人を見付けて、

 その人と短いけれど幸せに暮らし、

 悲しい別れの後に、

 一人でパン屋を営んで男の子を育てる、

 そんな波瀾万丈の物語だ。


 でも、どうだろう? このくらいの話なら世の中どこにでもあるんじゃないだろうか?


 人間って、きっと色々と迷ったり悩んだり、間違ったりして生きて行くものだから、お祖母ちゃん程でなくとも、山と谷のある一生は当り前にあるのだろうし、お祖母ちゃん以上に過酷な運命に翻弄されながらも、自分に与えられた『生』を生き抜いた人もごまんといるだろう。


 だからと言う訳ではないけれど、私はこの本を教訓で終えたくない、と思う。 


 その代わりに、私がお祖母ちゃんの日記を読み終えて感じ始めている、心のどこかに何か、『あかり』が灯った様な、何か、解り掛けたような、この不思議な感覚の事を最後に話して置きたい。


 それはきっと『理解のめばえ』なのだと思う。


 今まで私には、ぼんやりとしか見えていなかった『生きて行く』という行為。

 それは、 自分が何のために生き、何をめざして行けば良いのか、それに迷う事なんかじゃない。

 自分が迷っている、その気持ちがなぜ起きるのか、なぜ迷って悩まなければならないのかきちんと理解して、少しずつ積み重ねて行くことなのだ、と。 すると何かが自分の中で変わって行った。


 私もまだ17を越えたばかりだから、人生を語れる歳じゃないし、そんなに頭も良くはない。 だからお祖母ちゃんの人生を批評したりなんか出来ない、けれどお祖母ちゃんが何を言いたかったのかは、大体分かった、と思う。


 それは丸ごと受け入れて、それを自分ならどうするのか考えること。


 勘違いしている人がいるといけないから、言っておくけれど、丸ごと受け入れる、って、お祖母ちゃんのような、人の生きざまのことじゃないよ? 


 そう、私が何に気付いたのか、もしこれを読む人がいるのなら、その人たちそれぞれが色々と考えてみればいいと思う。 答えはきっと私が見つけた一つきりではない筈だから。


 今は何も分からなくても、分からないなら分からないなりに、自分が生きて行くと言う事をきちんと考えて見よう、そう思える人だけがお祖母ちゃんから、いや、さまざまな人生から教えを受けることができるんだ。

 夜の深さ・底の知れない深さに迷い、先の見えない・見出せない闇の中でも、見失わない・変わらない、そんなものもあるのだと私は知ったから・・・


 ・・・ああ、結局私は、教訓を書いてしまっている。 後は未知の読者に任せて、もうやめよう。 この日記帳の残りページはまだ10ページほどあるけれど、もう何かきちんとしたことを書けそうな気がしなくなった。 だから、この辺りでお祖母ちゃんと私の話はおしまいにしよう。


 私は朝になったらもう一度、お祖母ちゃんの日記を初めから読み返すつもりだ。 そしてそれが終わったらお父さんにこう言おう。 長い時間掛ったけれど、これでお祖母ちゃんの過去をお祖母ちゃんに返す事が出来る様になった、と。


 お墓の前で牧師さんに頼んで、日記を灰にして貰おう。 明日はいい天気だそうだ。 お墓参りには持ってこいの一日だろう。




 FIN




ライラック


モクセイ科・シリンガ属

ヨーロッパ南東部原産


別名 リラ

    紫丁香花むらさきはしどい


花言葉;

若者の無邪気さ、初恋、初恋の感激、謙遜

愛の芽生え、若き日の思い出、友情


 香水にされるほど甘い芳香をもつ花木で、明治の中頃に渡来し、鑑賞用として広く植えられた。開花は5月から6月ごろで、花色は紅紫色ほか、白や赤、ピンク、淡青、紫などがある。小さな筒状の花が円錐形に集まって咲く花姿はとても美しく華やか。


 ライラックはペルシャ語の「Lilak(青っぽい)」という意味で、この色が孤独や悲しみの象徴でもあり、ヨーロッパでは婚約解消を遠回しに伝えるのに、青紫のライラックを贈ったと言い伝えられる。


 属名のシリンガは、ギリシア語の「syrinx(導管・笛)」で、枝で笛を作ったからとされる。 英名は「ライラック」で、フランスでは「リラ」と名づけられ、マロニエと並んでパリの象徴としての花木となっている。

 和名は自生種が「ハシドイ(丁香花)」で、外来種が「ムラサキハシドイ(紫丁香花)」という。


―魅る魅るガーデニング〜花言葉と誕生花 ライラック

ほか、より




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