↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
矢田トモコ冒険譚 35歳のシンデレラ 大道芸人編  作者: トモサン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/87

35歳のシンデレラ 大道芸人編 82

30歳の大人のアムンゼンの顔が、そこにあった…


 「…では、矢田さん…お聞きしますが、矢田さんは、今、アラブの女神と呼ばれ、アラブ世界で、有名です…そのおかげで、矢田さんの夫の葉尊さんの会社、クールも、葉尊さんの父親の、台湾の台北筆頭の売り上げも、アラブ世界で、それまでとは、打って変わって、飛躍的に、売り上げが、伸びました…これを、どう、説明しますか?…」


 「…どう、説明するか、だと?…」


 「…そうです…いわば、ボクの力で、クールや台北筆頭の売り上げが飛躍的に伸びたのです…これを、どう説明しますか?…」


 「…それは、この矢田を取り込むためさ…」


 「…矢田さんを、取り込むため?…」


 「…そうさ…危険な人物は、近くにいては、困るさ…だが、この日本さ…私を暗殺することは、できんさ…だから、仲良くなって、私を、仲間にして、取り込もうとしたのさ…」


 私は、言った…


 すると、だ…


 なんと、アムンゼンが、笑った…


 笑ったのだ…


 そして、それは、これまで、この矢田が、見たことのない、アムンゼンの笑いだった…


 いかにも、悪意に満ち満ちた、どす黒い笑いだった…


 「…随分、ご自身の評価が、高いんですね…矢田さん…」


 「…なんだと?…」


 「…だから、きっと、矢田さんは、リンダさんと、バニラさんと、いっしょにいられるんです…」


 「…なんだと? …どういう意味だ?…」


 「…リンダさんも、バニラさんも、絶世の美人です…まともな神経の持ち主なら、この二人と、肩を並べて、平然と過ごすことなど、できません…まして、矢田さんは、同じ女性です…普通の神経では、ありえません…」


 「…なんだと?…」


 「…矢田さんは、少々、抜けているのでしょう…だから、なにも、気にしない…普通の人間では、ありません…」


 「…ふざけたことを、言うんじゃないさ…私は、普通さ…普通の人間さ…」


 「…いえ、普通じゃ、ありません…」


 至極、真っ当な表情で、私に反論した…


 私は、それを、見て、気づいた…


 このアムンゼンのコンプレックスが、いかに、大きいかに、気づいたのだ…


 だからか?


 同時に、気づいた…


 このアムンゼンが、権力に執着するわけに、気づいたのだ…


 自分のカラダが、小さい…


 だから、大きなものに憧れる…


 大きなもの=権力に憧れる…


 権力=他人様の上に立つということだからだ…


 だから、ぶっちゃけ、自分は、子供のような容姿=ルックスだが、こんなに偉いんだ…


 と、言いたいのかも、しれない…


 他人様に、向かって、声を大にして、言いたいのかも、しれない…


 そう、気づいたのだ…


 そして、そう気づくと、以前、ネットで、読んだ、徳川家五代将軍の徳川綱吉に関する記事を思い出した…


 徳川綱吉は、身長、わずか、124㎝だったと、言われている…


 当時の日本人の男の平均身長は、155㎝…


 当時としても、はるかに、小さい…


 いわゆる、このアムンゼン同様小人症…


 それゆえか、能を舞ったり、他人様に、講義をするのが、好きだったとも、言われている…


 要するに、


 …オレが、外見は、チビで、子供のようにしか、見えないけれど、こんなことも、できるんだ…どうだ? …凄いだろ!…


 と、周囲に、アピールしているのだ…


 だから、ハッキリ言えば、コンプレックスの裏返しに他ならない…


 それと、このアムンゼンは、いっしょ…


 カラダが、小さいというコンプレックスが、いっしょ…


 だから、権力に人並外れて、執着する…


 そう、気づいたのだ…


 だから、


 「…アムンゼン…オマエ、以前、国王の座を狙って、クーデターを、もくろんで、失敗したな…」


 私は、わざと、言ってやった…


 「…なんですか、矢田さん…いきなり…」


 アムンゼンが、動揺した…


 このアムンゼンのクーデター失敗は、アムンゼンにとって、黒歴史…


 触れては、ならない、黒歴史だった…


 「…オマエは、そこにいる、オスマンを、国王に、して、自分は、陰から、オスマンを操って、事実上の国王にならんとした…それを、見つかって、この日本に飛ばされた…そうだな…」


 「…」


 「…だが、オマエは、国王になることを、諦めて、なかった…権力を握ることを、諦めて、なかった…今回も、父や兄の争いを名目に、再び、国王になろうと、したんじゃ、ないのか?…」


 私は、言った…


 ずばりと、指摘した…


 アムンゼンの顔色が、変わった…


 それまでも、以前と、違って、真剣な表情になったが、それ以上に、真剣な表情になった…


 「…どうなんだ? …アムンゼン? …答えてみろさ…」


 私はアムンゼンを挑発した…


 どう、返答するか、挑発した…


 が、


 その前に、


 「…もう、いいんじゃない?…」


 と、いう声が、どこからか、した…


 私は、その声に聞き覚えがあった…


 その声の主を知っていた…


 私は、声のした方を振り返った…


 そこには、リンダが、いた…


 ハリウッドのセックス・シンボル、リンダ・ヘイワースが、いた…


 「…もう、いいとは、どういうことだ? …リンダ…」


 私は、聞いた…


 「…もういいは、もういい…言葉通りよ…お姉さん…」


 「…なんだと?…」


 私は、言った…


 言いながらも、どうして、このリンダが、突然、この現れたのか?


 それを、考えた…


 なぜなら、このアムンゼンの豪邸は、アムンゼンの屈強なボディーガードたちに、囲まれている…


 だから、普通に考えれば、簡単に、ここまで、やって来れるわけがないからだ…


 私は、考えた…


 が、


 その考えが、すぐに、間違いであることに、気づいた…


 色仕掛けか?


 と、気づいたのだ…


 今、目の前にいるのは、リンダ・ヘイワースだが、いつもの、私といる、リンダ・ヘイワースではない…


 まるで、映画で、見る、リンダ・ヘイワースそのものだった…


 パンツが、見えそうな短いワンピースを着て、色気ムンムンだった…


 オッパイも丸出し寸前だった…


 これでは、アムンゼンの警備のボディーガードたちも、イチコロだったに、違いない…


 絶世の美女が、色気ムンムンで、警備のボディーガードたちに、


 「…お願い…ここを通して…」


 と、でも、言いながら、お願いするのだ…


 これでは、いかに、アムンゼンのボディーガードたちも、たまったものじゃない…


 きっと、リンダに気に入られるために、喜んで、中に、入れたに違いないからだ…


 そう、気づいたのだ…


 だから、


 「…アムンゼン…相変わらず、詰めが甘いな…」


 と、アムンゼンに、言ってやった…


 「…詰めが甘い?…どういう意味ですか? …矢田さん?…」


 「…私には、このリンダがいるのさ…」


 「…矢田さんには、リンダさんが、いる…それが、どうかしたんですか?…」


 「…アムンゼン…オマエの私兵は、全員、男さ…筋肉ムキムキの屈強な男たちさ…」


 「…それが、どうか、しましたか?…」


 「…北風と太陽さ…アムンゼン…」


 「…北風と太陽?…なんですか、いきなり?…」


 「…北風と太陽の物語といっしょさ…」


 「…なにが、いっしょなんですか?…」


 「…北風と、太陽の物語の中では、旅人の上着をどっちが、先に脱がすことができるか、北風と太陽が、勝負する…北風は、北風を思いっきり、吹かせる…すると、旅人は、上着を飛ばされまいと、必死になる…だから、上着を脱がすことは、できない…」


 「…それが、どうか、しましたか?…」


 「…真逆に太陽を、照らすと、旅人は、暑くて、上着を脱ぎだす…それと、同じさ…」


 「…どう、同じなんですか?…」


 「…アムンゼンの私兵は、屈強な男たちさ…だから、力では、大抵の男は、勝てない…でも、色気には、弱い…ハリウッドのセックス・シンボルのリンダ・ヘイワースが、色気たっぷりに、頼めば、イチコロさ…」


 私は、断言した…


 断言したのだ…


 そして、それは、眼前のアムンゼンにも、わかった…


 「…なるほど…色気ですか?…」


 アムンゼンが、力なく、呟いた…


 「…それは、考えていませんでした…」


 アムンゼンが、がっかりしたように、続けた…


 「…たしかに、リンダさんの色気は、半端じゃありません…ボクの私兵たちも、リンダさんに、その姿で、色気たっぷりに、言い寄られれば、簡単に、この部屋まで、通すでしょう…」


 アムンゼンが、力なく、言った…


 「…どんな屈強な男も、リンダさんの色気の前には、形無しです…まるっきり、歯が立ちません…」


 アムンゼンが、言った…


 屈服したように、言った…


 この言葉を聞いて、あらためて、このアムンゼンは、男…


 30歳の立派な成人男子であることを、思い知らされた…


 いかに、外見が、小人症で、3歳の幼児にしか、見えなくなくても、ホントは、30歳の成人男子であることを、思い知らされた…


 なぜなら、このリンダの魅力が、わかるのは、成人男子に限られるからだ…


 どんなことがあっても、3歳の幼児に、リンダの魅力がわかるわけがないからだ(爆笑)…


 だから、あらためて、このアムンゼンが、立派な大人であることが、再認識された…


 と、同時に、なぜ、このリンダが、いきなり、この場所に現れたか?


 考えた…


 私は、まずは、バニラを見た…


 バニラとリンダは、仲がいい…


 二人とも、仲がいい…


 だから、バニラが、リンダに知らせた可能性が、高い…


 それとも?


 それとも、このリンダ・ヘイワースの持つセレブの情報網か?


 そう、気づいた…


 このリンダは、セレブの情報網を持っている…


 あのイギリス王室のウィリアムズ皇太子を筆頭とする、セレブの情報網を持っている…


 だから、その情報網を使って、ここにやって来たのか?


 そう、思った…


 そして、それを、考えたとき、以前、私が、太郎といっしょに、ネットカフェから出てきたときに、このリンダが、突然、現れたことを、思い出した…


 あれは、もしかしたら、このリンダの持つ、セレブの情報網から、私の居場所を掴んだのかもしれんと、気づいたのだ…


 あのとき、このリンダは、私が、


 「…どうして、この場所が、わかった?…」


 と、聞くと、


 「…蛇の道は蛇ということよ…お姉さん…」


 と、答えて、ごまかした…


 それを、思い出した…


 が、


 当然、あのとき、私の居場所をリンダに知らせた人間が、いる…


 問題は、それが、誰かと、いうことだ…


 私は、考えた…


 考えたのだ…


 が、


 私が、そんなことを、考えていると、リンダの後から、誰かが、入って来た…


 高齢の大柄な男だった…

 

 肌の黒さから、その男が、日本人でないことは、一目でわかった…


 そして、その人物を一目見るなり、アムンゼンが、


 「…パパ…」


 と、叫んだ…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。