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2-2

彼女はベージュのトレンチコートにその痩身を包みこみ、寒そうにマフラーに首をうずめていた。体の前に、両手でハンドバッグを持ち、うつむき加減に下を向いている。そのうつむいた顔は夢で会う時と同じように綺麗だった。


彼女を見つけた時の僕の感情を書くのは、少し難しい。僕は驚きと興奮がないまぜになったなんとも言いがたい感情に襲われて、どうすればいいか分からなくなり、思わず立ち止まった。唐突に立ち止まったので、僕のすぐ後ろを歩いていたサラリーマンが僕の背中にぶつかり、舌打ちをして去っていった。


僕が彼女の前で突っ立っていると、彼女がふと顔を上げて、眼が合った。一瞬、彼女は驚いたような顔をし、しかしすぐに透き通るような笑顔を浮かべて、僕に会釈した。頭を下げたため、長い髪が顔にかかった。再び顔を上げる時、その髪をかきあげた。僕もあわてて会釈を返した。


僕は意を決して彼女に近づいた。彼女が両頬にえくぼを浮かべて待っている。


「あの、すみません、俺のこと、わかりますか?」


僕に向けられた笑顔で、もう答えは分かっているようなものなのに、少し間の抜けた質問をした。彼女は笑みを浮かべたまま、


「はい」


「ああ、いや、その、・・・なんて言ったらいいか。こんなことってあるんですね」


「ふふっ」


「あれ?おかしいですか」


「いや、だって、あんまり驚いてるから」


「そう・・・そうですよね。いや、当たり前じゃん、こんなの。びっくりしないほうがおかしいよ」


「ふふふふ」


「・・・いや、そうじゃん、だって」


「ふふ、くくく・・・」


バッグを持ったまま、腹に手を当てて前かがみになり、本格的に笑い始めた。それを見ているうちに、僕のほうもおかしくなってきて、


「笑いすぎだよ。・・・ははは」


二人で少しの間笑ってしまった。

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