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異世界転移したら尖った耳が生えたので、ちびっこライフを頑張ります。  作者: 前野羊子
第六章 ~王子の道は前へ~

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366【小さなものから大きなものまで】

いつもお読みいただきありがとうございます!

このページでゆっくりしていってください~♪

『王子、相談があるのですが』

 

 超合金ロボが小首をかしげて俺を見上げる。


「なんだ?」


『この小さなサイズのゴーレムにも愛着が出てしまいましで』


「クリプタンはまだその超合金に入って二日だろ?」


『はい、でも小さな精霊たちと交流するのが意外と楽しくて』

「なるほど、それは分かる」


 しかし、超合金ロボは一日中動くことには向いていない。

 

 まあ、そんな実験のデータは見たことないからね。


≪なら、大きなゴーレムの前に、これに変わるゴーレムを作ってやるよ≫


 俺の隣で腕を組んでアッシュの方が請け負う。


「アッシュお前、忙しいんじゃないのか?」

≪あたしゃ時間のやりくりは得意だからな≫


 労働って、雇われている場合は働いている時間に限度をつけるけど、自営業とか経営者とか職人とか、自分から仕事をする人はついつい長時間働きがちだ。

 後は仕事にやりがいを感じてたら、つい根を詰めて取り組んでしまう。まるで趣味に熱中するようにね。


 で、人の場合は気が付けば体調を崩したり、家族からの不満が出たりしてね。


 さて、灰色妖精のアッシュの場合はものづくりをするために存在しているようなものだ。

 気が付けば俺の目線の先でものづくりをしている。


 幼児サイズなので、一人で出来る事には限界があるけれど、大勢いる小さいおっさん妖精を使って作業に当たるのである。

 おっさん達はかなり大勢いるので、交代しながら動いているみたいだが、動かすアッシュは一人なのだ。


 俺もアッシュに比べれば大きいけれど、子供サイズなので、おっさん達を手足のように使いこなしている彼女が少々羨ましいと思う。

 話し方は相変わらずおばはんだが。


≪あたしゃ、王子のものづくりに参加させてもらって、毎日やりがいがあるんだ≫


「そうなの?」


≪妖精王はものづくりをしないから≫

「確かに妖精王(アマビリータ)がものづくりをするってイメージはないけど…

 俺も数度会っただけだしなぁ。

 そう言えば彼は何処にいるんだろう」

≪いまは地下を歩いているらしい≫

「地下って…ガオケレナの根っこ?」

≪そうだ、世界樹の根っこの世話をしている≫

「元気なら良いけどね。

 それより、アッシュのきょうの予定を見せて」

≪うむ≫


 黄色い襷がけの幼稚園バッグのようなカバンからスケジュール帳を出す。


 魁星が算盤授業のスケジュール管理のために渡したのを使ってる様子を見て、おねだりされたので、渡している。


 地球の物では暦が違うので、PCで作ってプリントしたものを二穴パンチで開けてファイルにしたものだ。


「結構びっしりじゃん!」


 そこにあったのはアンシェジャミンの街道工事と、エマイルモンド湖横のリゾート施設の工事、それにヴァルカーンの工事など…。

 他にはガラス工房や製鉄所の予定も入っている。


≪それは工程表だ、要所要所で顔を出せば大丈夫だ≫


 まるで土木課の課長のようだ。スケールが全然違うけど。


≪でも監督ばかりも面白くないから≫


 面白くないのかよ。


≪クリプタンのゴーレムは直接作りたい≫


「やってくれるならお願いしたいけど…デザインは変えるか」

≪うむ、この〈超合金ロボ〉ってやつは異世界っぽいから好きじゃない≫

「なるほど、日本のデザインだもんな。よし」


 精霊屋敷(グスタヴィラ)のダイニングで、ラフなスケッチを描いていく。

 パソコンから色々なアニメの設定集や実写のSF映画の画像、もちろん超合金やプラモの画像や図面なんかを見ながらね。


 今日は学園も工場も支社もおやすみ。店舗だけはシフト制で動いてくれている。

 

 結局、俺も休みなのにものづくりのモードだ。

 だって、好きなんだもん。


「小さいから、関節にグリースとかはいらないよな」

≪ああ、機械油程度でいいだろう≫


『きゃははは!』

“めーぷる~”

『みろりいろちゃ!』

 ラグを引いているエリアでは砂糖楓の精霊のメープルが、土の精霊の緑色ちゃんと遊んでいるのだ。


 精霊と妖精しかいないので、お願いされた青いレールの電車の玩具を出している。


 ジーコロ ジーコロ ジーコロ


 精霊ちゃん達に交じって超合金クリプタンが遊んでいる。というか遊ばれている。

 新幹線に馬乗りになっている赤色君、その後ろの他の貨物車輛に三角座りの超合金。

 時折他の精霊ちゃんに手を振っている。


 メープルは四つん這いになってトンネル係だ。


 なかなかフレンドリーで良い。ほっこりするよね。


“わーせんろとんでったー”

“あぶないよめーぷるー”

『きゃー…』

 何かの拍子で、転がっていた青い線路が一つ飛んでいった。


 平和を感じた所なのに!


『おっと』


それを通りがかったスフィンクスがキャッチ。


『はい。メープルどうぞ』

『すひんくす、ありあと』


…やっぱりアメリカンな美丈夫がいいよな。顔はスフィンクスで行こうかな。

キリっとした眉骨の下は陰になってて、そこから青い眼光が光ってて…そのあいだにすっとした鼻筋があって…。いや、目の周りはマスクっぽいのもいいよな…。

 口を動かして話せるようになるといいよなぁ。


 ふと思いついて俺はアイテムボックスから、鋼鉄とクロム、そしてミスリルの三種類が足されたミスリルステンレスという合金の塊を出す。

 大きさは五百ミリリットルのペットボトルぐらいの四角柱。


“またそんな、おもいつきで”

 メープルと遊んでるのとは違う緑色ちゃんがあきれ顔。

「でも今回は、中身はそこにいるし」

“まあそうだけど”

 紫色ちゃんが相槌。 


 ミスリルステンレスの塊にに極細の油性ペンでロボットの顔のスケッチを端っこに描き始める。

 さっき紙に描いたから、それをこっちにフリーハンドでサイズを調節して描き写す感じ。


 アメリカンな彫りの深い顔に、ヘルメット。やっぱり角っぽいのは欲しい。

 二本よりは…ハロルドみたいな一本。


 ボディはスマートなアーマープレートタイプ。そして、背中には折りたたんだ金属の羽。


 うん、カッコよくなると思うよ。


 正面を書いて、右側左側、背中、上から、下から。

 足はちょっと安全靴のスニーカーみたいに安定したフォルムに。

 

「おーいクリプタン!」

『はい。

 ちょっと皆さん失礼しますね!』


 貨物車の客は周りに挨拶してからとことことやってきた。


 床下に手を置くとそれに掴まってくれるのを引き上げる。

 うん、小さいペットでこういう動画見るよね。


「ちょっとクリプタン、この金属の塊に入ってくれない?」

『これですか?、顔や手足が描かれているようですが、動かせないのでは?』

「いいからいいから。失敗したらまた超合金に戻ってもらえば良いからさ」

『わかりました』


 超合金は両手をミスリルステンレスに凭れるようにつけると、全体的にちょっと光って、その場で姿勢が崩れて倒れてしまった。。


 まあ、抜け殻になったってことだよね。


「じゃあちょっと待ってね」


 上の平らな所に、小さい黄色い魔石をいくつかザラリとのせて、さらに青を二つ、ほんの少し大きい緑と赤い魔石も一つずつ載せる。


 これらはアクセサリー用にラインストーンや宝石などのようにきれいにカットされている魔石で、子供手の届かないところに保管するべきするもの。

 口にはいったら危ないからね。

 俺も今の子供の姿のままでは、学園の制服を着ないと買えない。


「んじゃいくよ」

“はい”


 念話の返事。


 ミスリルステンレスに描いた彼の右手に俺の左の人差し指をつけてそこから無属性の魔法を流し込んでいく。


 メープルが生まれてきた時よりは、はっきり明確に。


 イメージしろ。


 脳裏にこいつの完成形を思い浮かべる…。


「よし、クリプタン、右手で俺のこの指を握ってみよう」

“は?はい…わ・わわっ 全身の感覚が巡っていく!体の形状が理解できる」


「うん、動けそう?」

“…動けそうな気がします。

 ああ、手が…動きそうです”


 金属の塊から、小さな手がちょこっと飛び出て俺の指を掴む。


「うん…よし掴んだね」


「さあ、出てこよう」


“はい”


すると、てっぺんに乗せた魔石ごと金属の塊が眩しく光り、表面がざらざらと銀色にきらめきながら砂のようになって崩れていく。


やべ、ここ食堂だ。


≪王子、余計なことは考えるな≫


アッシュに言われる。


はーい。

クリプタンに集中!


今回はいろいろ精密だからね。


銀色の砂が落ち着いて、少しこんもりとなっている。


そしてその真ん中に立ってる新たな超合金…じゃなくてミスリルステンレスの小さなゴーレム。


一本角は緑色に輝いている。


ヘルメットの廂から見える二つの青い目、左胸に赤い石。


そしてあっちこっちに散らばって埋まってる、黄色いラインストーン状の魔石。それ以外はステンレス色に輝くプレートアーマー。


「綺麗じゃん」


“そうなんですね”


「ほら」


と、時々出しては使ってる、百円均一のB5サイズの薄っぺらい鏡を前に立て掛ける。


“これが新しい体ですか…なるほど、より人っぽい顔ですね”

「でしょ、スフィンクスをイメージしたんだもん」


≪王子ずるい!≫

“いまさらよあっしゅ”


≪だって、ゴーレムづくりが一つ減った!≫

“おおきいのがのこってるじゃない”


≪でも!≫



チャッ


軽やかな音がして羽が開く。


「自分が考えたとはいえカッコよ!」

『羽があるんですね』


「風魔法を仕込んだから飛べると思うんだけど」

『やってみます…』

「ちょっとまって、下でやって!」


 ミスリルステンレスの粉々の屑の上で風魔法を使ったら大変なことに!


 彼を掴んで床に置く。


 二本足で立ってもバランスは悪くない。


 シュー… 


 下から空気が噴き出しているのが分かる。踵にも黄色い魔石が嵌っているのだろう。


 踵が浮く…そしてそのまま高度を上げる。小さなゴーレムはどんどん高度をあげていって…。


 ゴチッ


「途中で止まらないと」

『てんじょーにごっつんした』


 一緒に見守っているメープルにも言われてんじゃん。


『そうですね、失敗。

 ちょっと練習しなくては』


「じゃあ、ちょっと練習していてね」

『はい!』


 卓上ほうきと塵取りを出して粉々を掃き集める。


 そしてテーブルに鍋敷きを置いて、その上に陶器のるつぼを置く。


 掃き集めた粉々をるつぼに入れて、あとは黄色ちゃんと赤色君のタッグにお任せ。


 粉々のミスリルステンレスは再び一つの塊になる。

 今度はかなり小さくなったけどね。角が少し丸い立方体にした。その一か所に斜めのスリットを入れる。

『しゅばいちゅ、これは?』

「メモを立てるんだよこんなふうに」

 とカードを一枚挟んで立ててみる。


『わあ』


 母さんの机にもこういうのあったな。


 シュー……


 お、飛んできたぞ。


『…で、この羽で……あ、そうかこうすれば方向が…』


 ぶつぶつ言いながらクリプタンがちょこちょこ飛んでいる。


 これなら小さくても、不便じゃないだろう。


≪しょうがない、さすがに飛ぶところまでは考えつかなかったわ≫

 アッシュが感心したように言ってくれる。

「妖精はどうやって高い所に行くの?」

≪物理的なものではない≫

「なるほど?」

≪簡単に言うと、空間魔法の組み合わせとかそういう感じだ≫


「あーそれなら行けそうだね」


≪だから、高い所に行けないやつもある。同じ属性のやつでも。

 属性じゃなくて、個々の能力だな≫


 沢山いる妖精たちもそれぞれ個性があると。


 違いが分からないけど…違うって事は分かるようになったよ。

 

 仕事熱心なやつから、サボり魔まで。


『こんかいはお父さんじゃないのですか?』

 スフィンクスが聞いてくる。


「ちがうだろ、もともとクリプタンは存在していたんだし」


『そう言えばそうですね』


 俺にまだ長男は不要だ!彼女さえいないってのに。


 “きゅあのいもうとは、たっくさんいるけどね”

 “たしかに!”


「そのカウントは別枠だ!」



 数日後、アッシュに学園の大型試作室に呼び出された。

 まあ授業だから行くけどさ。


「は?もうクリプタンのゴーレムが出来たのか?」


≪ああ!力作だぜ!≫


「シュンスケ来たのか」

「シュンスケさん、アッシュはすごいですよ!」


 ウリサとクリスはもう到着していた。



『王子、どうですか?これ』


 そこには高い天井でさらに四階まで吹き抜けの空間の、三階部分まで突き抜けて立っている、ミスリルステンレスのきらめくゴーレムが立っていた。


「うん、すごいよ」


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