364【雑って言われた!】
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「シュンスケ、以前ホーローを焼いた時に作ってた、〈精霊コークスハイブリッド〉を製鉄所に卸してくれんか?」
「製鉄にも使えますかね」
「勿論だ、燃焼温度が高くて、燃焼時間が長いのだ。
それだけでもじじいの労力が減るからなぁ」
「じじいって、前王様を…」
この世界に石炭は無い。あるかもしれないけど、まだなさそうだ。
そもそも化石燃料みたいなものが無い。樹脂だって動物の素材から魔法で抽出するんだ。
精霊コークスは、木炭の細かい隙間に火属性の魔力を結晶化して篭めた物。
そのハイブリッドは、火属性と風属性の魔力を混ぜて結晶化したもの。
昔たまたま採掘された時はクロダイヤとも呼ばれていた。でも石炭じゃなくて木炭。
で、炭の方は、アナザーワールドの、ゴブリンたちが交代であの山の木を切ってせっせと自作の炭焼き小屋で炭を作っていたのだ。
魁星の庵の世話をしている妖精のトットが
「炭が欲しいなぁ」
って漏らしたので、他の妖精のおっさん達とゴブリンのデコボコグループが炭釜をつくり、せっせと炭を焼いていた。
切り出した木を一旦アンシェジャミンの砂漠に並べて乾かすことによって早く乾かすことにしていたのだ…そのあと砂漠に転移の扉をつけてやったんだけど…
≪うわぁおうじぃ!≫
≪きが!≫
≪おまえらなにするんじゃー≫
ゴブリンが乾かすために井桁に積み上げていた木で、砂の魔物のサソリが遊んでいた。
別のエリアではサンドワームが転がして遊んでいた!
「ああ、防魔林で囲めばよかったね…とりあえずあいつらを討伐しよう」
≪もうすぐ乾くんです≫
≪水を掛けないで≫
「そうか…どうしようかな」
砂の魔物の弱点は、水と雷だ。
積乱雲の氷の粒の代わりに砂の粒を竜巻の様に巻き上げてその摩擦で雷を発生してみる。
ザーバチバチバチバチ…
「えい!」
ピカッ
ドッシャー
≪うわー、木材に落ちた!≫
≪燃えたー≫
≪王子、雑すぎます!≫
「すまん」
おっさん達に怒られてしまった。
改めて防魔林で囲った、砂の魔物が出ないエリアを作って、作業を再開…
井桁を組まれた木材は次の日にはもう丁度よい乾燥具合になったらしくて、暫くこの往復を続けたいと、扉を固定することにした。
出入りは俺の従魔のゴブリンやホブゴブリンたち限定で。
妖精のおっさんは勝手に出入りできた。
そうして、アナザーワールドの炭窯で炭が出来るのをうきうきと待ってるゴブリンと妖精のおっさんに交じって、アメリカンな美丈夫もやけに似合う作務衣を着てしゃがんで並んでいた。トットに作ってもらったんだって。
「スフィンクスも炭がほしいの?」
「はい。これで焼き鳥を焼いてみたくて」
「なるほど」
「焼けたらお知らせしますね」
「それは楽しみだ。
ヘファイド叔父さんにも差し入れようかな」
「それはようございます。
それに、木酢酢もいただきたいんですよねぇ」
「ああ、畑や花壇の虫除けか」
「はい、地球のような化学的な農薬がありませんからね。
これがあれば美味しい野菜を害虫から守れますから…」
「そんなこと言うのはスフィンクスだけだから全部持って行って」
「もちろんです」
「クインビーに相談しながら使ってね」
「はい」
ちなみにアナザーワールドの木も伐採したところですぐに再生されるんだけど、当面はアマゾン川並みの面積を誇っていたグリーンサーペント河で伐採した木材でまだ半分残っていた分から炭にしてもらう。
つまり、木材もまだ大量に手持ちがあったんだよね。
防魔林のなかにこんもり積んでおく。
「でっかいビーバーの巣みたいだな」
「こんなに大きいと何かわからないですよ」
「ははは」
そんな木炭関連のことを思い出していると、
「どうだシュンスケ?
コークスの材料の木炭は用意すぞ」
「いえ、木炭は山ほどあるんです…で、コークスっていくらぐらいなんですかね」
「じじいが言うには、キロ四百ピコラメらしいが…叩きすぎかな」
「いや、平均価格が分かんないからそれでよいですよ」
「ではシュバイツ印の鉄の聖性もあるし、早く頼むな」
それ、断れないやつ…。
「わかりました」
教授に頼まれたその足でアナザーワールドに入り、小屋いっぱいの炭の山から数キロだけ避けておいて、残りの炭に一気に火属性と風属性の魔素を浸透させて圧縮していく。
とりあえず目の前の炭がキラキラと変質していく。
途中から透明になって体ごと炭の山の中に浸透させて隅々まで作業をする。
これの方がむらなくできる事に気が付く。
「こんなもんかな」
“こんなもんよ”
“せいれいすきるのつかいかたがきようすぎるわね”
「褒めてくれてる?」
“はんぶんほめてて”
“はんぶんあきれてる”
「ひどい」
“わははは”
「ってわけで、〈精霊コークスハイブリッド〉一トン分です」
と、フォルゲン太上王陛下いや製鉄所長に手渡す。
一トンと言っても、体操着入れぐらいの魔法袋に入っちゃったから。
「おう…お前さんの口座に入れればよいか?」
「いえ、商会の方へ」
「わかった…助かる。
また来月頼むよ」
「こちらこそ、毎度ありがとうございます」
お金もいくらでも必要だからね。だって再建国がまってるんだよ。
そして普通の炭と、俺が串打ちした方のコカトリスの肉をたくさん持って、ヘファイド神の炉端を訪ねる。
「こんばんはー」
『おーう、よう来た』
『まってたえ』
『今日はあんた一人なん?』
『なら甘やかしちゃれ』
「やめてよ、今から焼くから!」
今日も四柱の神様が集っていた。
脂ののったもも、皮は薄い首の所。他の所は厚すぎるからね。コカトリスは大きいからさ。
むね肉はつくねにして特性の酢味噌を用意したよ。
大葉を巻いたささみ、中にチーズを仕込んだもの、
そしてねぎま
甘辛いたれと、塩、そして梅肉チューブも母さんに取り寄せてもらった。
ほかに塩おにぎりと、日本酒、ビール、ワイン。
ゴブリンたちが作った炭の風味は焼き鳥をさらに旨くしていた。
『ゴブリンたちもあんたに飼われて幸せそうやなぁ』
『放って置いたら追いかけられるだけやもんなぁ』
「あいつらは暇だと増えますからねぇ。
いちおう薬で繁殖を抑えているんですけど、あんまりやりすぎるのも人道的にどうかなって」
『人道的って…人とは違うえ』
「いや、喜怒哀楽の感情もあるし、最近は文字も読めるし、楽器なども弾けるようになってるんですよ」
『それは色々楽しそうやな』
『たしかに、動物的な本能のままに生きてきたゴブリンなら、繁殖するしかなかったが、他にすることが出来たら繁殖速度も減るかもしれないなぁ』
「ですよね」
『でも、手綱を緩めるのはあんたの世界だけにしいや』
「いえ、増えられるのもちょっと…」
『それはそうやな』
話題は俺が作った拠点アンシェジャミン(仮)の立体模型に移っていく。
別の縮尺の地下断面も。
炉端から離れたいつもの作業台で見せる。
『なかなか良くできとるの』
「本当ですか?」
『日本なら後からあとから付け足すように地下を掘っていただろうけど、初めから層分けしてあったら楽だったでしょうね』
『そりゃあ、あっちの人たちもそんなことになると思わずに作った街なんやろ』
『そうやろうなぁ』
『竪坑の間隔はもうちょい狭めた方が良いのう』
「だめですか?」
『ただの鉄鉱石メインのダンジョンだと不安じゃ』
『鉄筋コンクリートを組み合わせた方がええんじゃないの?』
大地の女神が提案を足してくれる。
「土属性のダンジョンコアなんですよ」
『なら大丈夫やな。できるだけ鉄筋コンクリートをイメージするんやで』
『そんとき、鉄筋じゃなくて魔鉄筋が良いがな』
「魔鉄筋?」
『魔鉱の鉄筋じゃ』
「鉄だけじゃダメ?」
『ちと不安じゃ』
「魔鉱なんてどこにあるんですか」
『おや?あんたのとこに魔鉱の山あったえ』
「は?俺の山?」
『まだヴァルカーンに渡しきれていない鉄の塊で、アナザーワールドに置きっぱなしのがあるやろ』
「はい」
『それがあんたの魔素を蓄えて今頃魔鉱になっとるえ』
「…知らなかった」
あそこに置いておくだけで魔鉱になるなんて。
「でもそれならまた鉄鉱石を入れておけばいいんですよね」
『そうじゃ』
鉄を一時保管していたらうっかり魔鉱に変ってました。
…確かに我ながら雑かも。
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