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【14話】誰が後片付けするのよ!!

大勢の子ども達が道いっぱいに広がって歩いている。

しかし、牛もかくやというほど歩みが遅い。


「おい、あんまチラチラ見すぎんなよ。あいつらにバレたらダセーぞ」

「でもさぁ、これ見てんのか気になるじゃん」

「もう10分くらいかけて歩いてるんだから、誰か1人くらい見てるだろ」

「そもそもブルーサンダーの奴らいるの?今日」

耳を澄ませば、コソコソと話をしている。

あの子達は何をしでかしてくれるのだろうか。

今日も楽しみだ。


「ブルーサンダーのやつら、みんな臆病だから今日来てないんじゃねーー!」

「おいぃ!バカ!何でかい声出してるんだよ!」

「だってあいつら見てるか分かんないのに、こんなコソコソしていてもしょうがねーじゃん」

「あいつらを意識してるって思われたらダサすぎだろ!」

「もうさ、いっそのこと騒ぎながら白藍の所に行こうぜ」

「お前〜!勝手なことするな!」


―――

いいなぁ。

頭を使った気になるだけで、なんでだかワクワクするんだよなぁ。

僕も兄さん達といた頃までは楽しかった。

よく大人達を騙そうと試行錯誤しながら遊んだもんだ。

学園にいたとき、女子から貰ったプロフによく「過去と未来どちらに行きたいか」という質問が書いてあったことを思い出す。昔はどっちでも良かったけど、今なら絶対、過去に行きたい。子どもの背が小さいのは神からのギフトだと思うのだ。ちょっと下を向けば、虫達が歩くような、自分よりはるかに小さな世界が広がっている。上を向けば、120パーセントで空のデカさを感じられる。大人が見る世界より贅沢な世界を見られるのは、ひとえに背が低いからだろう。

また、小さくなって街歩きしようかな。


始まった言い合いをきっかけに、子ども達はもう遠慮せずにのびのびと話し出している。

これからも関係が拗れないといいけど。

……まぁでも、拗れるのもまた一興か。生き物なんだから。そう。仕方がないのだ。


そろそろ切り上げよう。僕も準備しなくちゃ。

座っていた屋根から落ちれば、水の抵抗でふんわりふんわり落ちていく。このゆっくり落ちる感覚が揺籠みたいで結構好きだ。揺籠に入ってた記憶なんてもう無いけど。

街に出れば子ども達が沢山いる。



「俺さぁ、昨日からこっそり宝石探してるんだけど見つからないんだよ。お前見つけた?」

「あー!行けないんだぁ!俺は正義マンだからまだ探してないもんね」


「痛っ…」

「あれ?大丈夫?指刺した?」

「うん。まぁ、大丈夫そうかな。」

「なんかさぁみんなみたいに上手く作れないね。お守り袋」

「普通にむずい」


「なんで川入ってるの?」

「川を片っ端からあさってやろうと思って」



よしよし、どうやらみんなも準備できたらしい。

今日、合図出しちゃおうかな。

みんな驚いている顔を想像すれば、自然と足も速くなる。

向かうは水中ユートピア一高い塔。物見台部分から下は滝が流れている珍しい建物だが、紺青地域にあるせいか待ち合わせに使われることも滅多になかった。

やっとのことで頂上までくる。

これ、僕歳取ったら登れないんじゃないの。

人間らしく足で歩きたいのに。もう。

それはそうと、床一面に積まれた紙の束。

今週一の大仕事である。

「そーーーれっ!」

紙が舞い上がる。くるくる回転しながらすぐ下に落下する紙。上に吹き上がった紙。四方にいい感じに散ってくれた。

「行ってこーーい」

さらに風を送り、宙に舞った紙がはるか向こうに飛んでいく。紙とは思えないほど鳥のように力強く流れていった。

みんなに届くかな。

落ちてきた紙には「よーい、どん!」の文字。

「みんな頑張って探してねー」

子どもの世界にだって、たまには刺激があったっていいでしょ。

遠くから「うぉぉぉぉ!スタートだ!」「探し出せぇぇ!」と聞こえてくる。


いいことをした後みたいな満足感を覚えながら塔を降りて家に帰る。

さぁ、さっさと帰って、みんなが宝石をどこに隠したか地図にまとめなきゃ。

忙しい、忙しい。

鼻歌なんて歌っちゃう。

やっぱり天才だったな。子ども達を使って隠してもらうの。

次もなんか仕掛けたいなぁなんて考えながらドアを開け、ジャケットを床に放り投げ、椅子に座る。

この前より範囲が広くなった地図と向かい合ったときだった。


「クレアシオン・フォーゲル。3秒以内に額を床につけなさい?」

あちゃー。

振り返ればターナが立っていた。木のドアは腐り崩れている。

「ご機嫌よう。珍しいね。ターナが僕の家に来るの。初じゃない?」

「この状況で機嫌がいい腐れポンチはどうやらあんただけみたいよ?」

「やだなぁ、腐れポンチだなんて。貴族が使う言葉じゃないでしょ。」

「そおねぇぇぇ。でも、貴族のくせに自分の領域を汚すやつが目の前にいるから特例じゃないかしら。」

「えー、あの紙汚くないよ?環境への配慮はバッチリさ。」

「あんた、バッカじゃないの?子ども達の活動範囲を散らかすなっていってんのよ!あれ、片付けどうするのよ!」

「だから言ったじゃない。環境には配慮してるって。しかも今回はターナにも配慮してる。」

「は?」

「あの紙ね、パルプ100パーセントなの。」

「だから?」

「知ってる?パルプって。木の繊維でできてるんだよ。」

「………だから?」

「木は土がないと生きていけないでしょ。つまりは土属性だ。土属性といえばターナでしょ。だから。」

「だ・か・ら?」

「ターナ、あとはよろしく!」

そう言い残して脱兎の如く距離を取り、窓から飛び降りる。

昔やんちゃしてた自分ありがとう。水中ありがとう。


ガッッ。


……上から日傘が落ちてきた。というか刺さった。

あー、怖い怖い。しばらく顔を合わせないようにしよっと。

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