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41話「単騎」
アネモネの拠点は、古い倉庫を改装した建物だった。
美園は青い特攻服のまま、単騎で門の前に停めた。
エンジンを切り、ゆっくりとヘルメットを外す。
中から、数人の女たちが現れた。
「あ? 何だよ、一人か」
「誰だよ」
「昔のOGだってさ。元総長でも副総長でもねえ、ただのOGかよ」
数の有利を背景に、露骨に舐めた声が飛ぶ。
それでも、美園の静かな立ち姿に、最初の一歩は誰も踏み出せずにいた。
美園は短く言った。
『九条莉乃を出せ。これ以上、余計なことはするな』
「はあ?」
先に動いたのは、三人だった。
美園はほとんど表情を変えず、最初の女の腕を取って投げ、二番目の蹴りを払って膝を折り、三番目の胸に掌を当てて後ずさりさせた。
派手な技ではない。ただ、無駄がなく、速い。
三人は地面に膝をついたまま、動けなかった。
残っていたメンバーたちの顔から、余裕が消える。
「……こいつ、只者じゃねえ」
警戒の色が、一気に濃くなった。
そのとき、奥から一人の女が現れた。
アネモネの現総長——西村愛。
「何の騒ぎだ」
現場の空気を一目で察した愛は、美園を見て鼻を鳴らした。
「今更、肩書きもないOGが何の用だ」
そう言って、美園に向かって歩み出そうとした瞬間だった。
『待て!』
低く、通る声が倉庫の中に響いた。
全員の動きが、止まる。




