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39話「報告」

夜。

スナック【Rose】のカウンターに、三人分のグラスが並んでいた。

美園はいつものように水を飲みながら、切り出した。

『この前、若い子が来たよ。Beauty Roseの副総長だって』

樹里が目を細める。

『Beauty Rose』

『陽菜が解散させた後、別の子が再再度立ち上げて、名前を変えたらしい。

アネモネと抗争してるから、力を貸してほしいって』

陽菜の手が、止まった。

『……また?!』

『そう。総長は九条莉乃だって』

陽菜の目が、明らかに険しくなる。

『莉乃が? あいつ、勝手なことしやがって』

美園が静かに続ける。

『断った。もう、そういう世界には戻らないって』

樹里は短くうなずいた。

『断って正解だ』

陽菜は腕を組んだまま、不満そうに息を吐く。

『解散させたのはあたしだよ?なのにまた立ち上げて、しかもアネモネと事を構えてるなんて……。

楽しそうだなあ。とは思ったけど、怒っていいよねあたし』

『怒るなら、本人に言え』

美園が呆れたように言うと、陽菜は「わかってる」と舌打ちした。

樹里がグラスを置き、話題を変える。

『それと、明日から研修旅行に出る。数日戻らない』

美園が軽く眉を上げる。

『二人とも?』

『ああ。会社の行事だ』

『わかった。店の方は問題ないよ』

陽菜が最後に、まだ不満そうな顔で呟いた。

『……莉乃のやつ、本当に勝手なんだから』

三人はそれ以上この話を深掘りしなかった。

「もう関わらない」

その認識だけを共有して、その夜は解散した。

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