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22話「白状」

数日後。

三人は再び高校を訪れた。

前回の樹里の説教が効いたのか、学校側の対応は前回より少しだけ誠実になっていた。

応接室に通されると、すでに加害生徒たちも呼ばれていた。

彼らは三人を見た瞬間、明らかに顔を強張らせた。

陽菜が前に出る。

『前回は「やってない」って言ってたよね。

今日も同じこと、言える?』

生徒たちは押し黙った。

誰かが唇を噛み、別の生徒が視線を床に落としている。

そのとき、応接室のドアが乱暴に開いた。

「ちょっと、何の話をしてるんですか!」

加害生徒の親たちが、乗り込んできた。

数名。最初から怒りを前面に出している。

「うちの子が加害者扱いされて、勝手に呼び出されてるって聞いたんですけど!」

「証拠もないのに、何をさせられてるんですか! いい加減にしてください!」

樹里が静かに事情を説明しようとしても、親たちは聞く耳を持たなかった。

「うちの子はやってません!」

「学校も証拠がないって言ってるじゃないですか!」

「勝手に決めつけないでください!」

否定の言葉ばかりが、応接室に飛び交う。

美園は最初、穏やかに口を開こうとした。

だが、親たちの声がそれをかき消す。

「いい加減にしろよ、部外者のくせに!」

その瞬間、美園のトーンが変わった。

『人の話を聞けって言ってんだよ、このボケが』

低い、はっきりした怒鳴り声。

応接室が、一瞬で静まり返る。

親たちも、生徒たちも、先生たちも、美園の方を見て固まっていた。

美園は短く息を吐き、声のトーンを戻した。

『……すみません。少し、声が大きくなりました』

誰も何も言えない。

美園は改めて、静かに前を向いた。

『保護者の方々。親として、自分の子供が責められていると聞けば、守りたくなる気持ちはわかります。

自分の子供がかわいいのも、当然だと思います』

彼女の声は、もう怒っていなかった。

なのに、誰も遮れなかった。

『でも、その気持ちがあるなら、なおさら聞いてほしいんです。

皆さんのお子さんは、別の誰かの子供を、傷つけていました。

痕跡を残さないように、巧妙に。

相手の親が何度も学校に相談しても、動かない状況を利用して』

生徒たちの顔が、さらに青ざめていく。

陽菜が低く言った。

『正直に話しな。今なら、まだ間に合うよ』

長い沈黙のあと、一人の生徒が小さく口を開いた。

「……やってました」

それが口火になって、他の生徒たちも次々と認め始めた。

無視をしていたこと。物を隠していたこと。遠回しに傷つけていたこと。

美園は親たちの方を見て、続けた。

『親として、自分の子供のかわいさを思うなら。

同じくらい、傷つけられた子供の親の気持ちも、想像してみてください。

朝、学校に行きたくないと泣いている子供を見て、何もできない親の気持ちを』

静かな声だった。

なのに、言葉が一つひとつ、胸に落ちていく。

『謝ってほしいんです。

そして、二度としないと、きちんと約束してほしい。

それが、親としての責任だと思います』

長い沈黙のあと、一人の母親が顔を上げた。

「……わかりました。息子に、ちゃんと謝らせます」

それがきっかけで、他の親たちも、徐々に態度を改めた。

最終的に、生徒たちと親たちから、謝罪の言葉と、今後二度といじめをしないという簡単な誓約の書面を取り交わした。

学校側も、正式に記録を残すことを約束した。

応接室を出るとき、陽菜が小さく息を吐いた。

『……終わったね』

樹里が短くうなずく。

『ああ』

美園は何も言わず、ただ二人の横を歩いていた。

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