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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第六章 『魔族領侵攻編』

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第98話 魔王城

魔族領。


黒い山脈を越えた先。


空気そのものが違った。


重い。


濃い。


まるで。


世界の色が少し暗い。



荒野を進む一行。


先頭には巨人型魔族。


巨大な翼。


六メートル級の巨体。


だが。


態度だけは異様なほど恭しい。


士郎へ向けて。



リゼが小声で言う。


「ねぇ……」


「本当に王扱いされてない?」


グランも苦い顔だった。


「笑えねぇよ……」


普通なら。


人類が魔族領へ入った時点で死ぬ。


なのに。


今は違う。


道中で現れる魔族たちが。


全員。


士郎を見た瞬間に跪いていく。



狼人型。


翼持ち。


巨大鬼。


異形。


種族は違う。


だが。


全員の反応は同じだった。


恐怖。


歓喜。


そして。


服従。



『王だ……』


『魔王様……』


『本当に……』


ざわめき。


熱狂。


リゼが顔を引きつらせる。


「なんか宗教みたいになってきた……」



士郎は気にしていない。


肉を噛んでいた。


「腹減るな」


リゼが即ツッコむ。


「そこ!?」


グランが頭を抱える。


「魔王ムーブしろ少しは!!」



エレノアは黙っていた。


赤い瞳。


士郎を見る。


変わった。


確実に。


黒い靄。


赤黒い瞳。


奈落城以前とは別物。


だが。


士郎自身は変わらない。


そこが逆に怖かった。



セレナは楽しそうに笑っている。


紫の瞳。


歓喜。


「想像以上ね」


「ここまで歓迎されるなんて」


エレノアが冷たく返す。


「あなたの思い通り過ぎて気持ち悪いわ」


セレナは否定しない。


ただ笑った。



やがて。


全員の足が止まる。


静寂。


その先。


巨大な黒城が見えた。


山より大きい。


黒い尖塔。


空へ突き刺さるほど高い城壁。


まるで。


世界そのものを支配するために作られた城。



リゼが固まる。


「……デカすぎない?」


グランも苦笑した。


「王国よりヤバいなコレ」



巨人型魔族が静かに頭を垂れる。


『魔王城です』


『現魔族王統』


『アルシア様がお待ちです』


静寂。



その瞬間。


城門が。


ゆっくり開いた。


轟音。


空気が震える。


そして。


巨大な軍勢が並んでいた。


数万。


黒い鎧。


異形。


魔族軍。


その全てが。


士郎へ視線を向けていた。



次の瞬間。


轟音。


全軍が跪く。


地響き。


空気が揺れる。


そして。


咆哮のような歓声が響いた。


『魔王様ァァァァァ!!!』



リゼが完全停止した。


「……夢?」


グランも顔を引きつらせる。


「いやもう後戻り無理だろコレ……」



士郎は城を見上げる。


黒い瞳。


赤が混ざる。


そして。


獰猛に笑った。


「面白い」


その視線の先。


魔王城最上階。


一人の少女が。


静かにこちらを見下ろしていた。


白銀の髪。


紅い瞳。


小さな角。


魔族姫アルシア。


その唇が。


静かに笑った。


「ようこそ」


「新しい魔王様」

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