表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第六章 『魔族領侵攻編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/746

第99話 気に入った

魔王城。


静寂。


アルシアと士郎。


二人の魔力がぶつかり合った余波が、まだ空間へ残っていた。


軋む床。


震える空気。


そして。


誰も動けない。



魔族兵たちは跪いたまま。


顔を上げない。


いや。


上げられない。


怖いのだ。


目の前にいる二つの怪物が。



リゼが震えながら呟く。


「なんなのこの空気……」


グランも顔をしかめる。


「城ごと壊す気かよ……」


エレノアだけは黙っていた。


赤い瞳。


士郎を見る。


黒い靄。


赤黒い瞳。


奈落城以前とは別物。


なのに。


まだ士郎自身が消えていない。



アルシアが階段を降りる。


白銀の長髪。


漆黒のドレス。


小さな角。


近づくほど分かる。


美しい。


なのに。


危険だった。


本能が警告してくる。


強い。


圧倒的に。



アルシアは士郎の前で止まる。


紅い瞳。


真っ直ぐ見上げる。


そして。


笑った。


獰猛に。


「気に入ったわ」


静寂。



リゼが引きつる。


「いや、軽く言ってるけど今の殺し合い寸前だったよね!?」


グランも乾いた笑いを漏らす。


「魔族の好意こえぇ……」



アルシアは気にしない。


視線は士郎だけ。


「あなた」


「面白い」


「怖がらない」


「媚びない」


「それに」


紅い瞳が細くなる。


歓喜。


「強い」



士郎は少し笑う。


「お前もな」


静寂。


その瞬間。


周囲の魔族たちがざわついた。


『姫様が……』


『認めた……?』


『まさか……』


空気が変わる。


完全に。



セレナが静かに笑う。


「順調ね」


エレノアが睨む。


「あなた、本当に全部計算だったの?」


セレナは肩をすくめた。


「半分くらい」


「ここまで相性良いのは予想外だけど」


リゼが即ツッコむ。


「相性って言い方やめて!?」



その時。


アルシアがくるりと背を向ける。


長い白銀の髪が揺れる。


「来なさい」


「歓迎するわ」


ゆっくり振り返る。


少しだけ笑う。


今度は獰猛ではない。


楽しそうだった。


「士郎」


初めて。


名前を呼んだ。



士郎は笑った。


黒い瞳。


赤が混ざる。


「面白い」


そのまま歩き出す。


魔王城深部。


玉座の間へ。



そして。


誰もまだ知らない。


この出会いが。


世界そのものを壊すほどの怪物同士の関係になることを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ