表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第五章『奈落城編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/746

第97話 魔族姫

奈落城崩壊後。


空。


黒い靄。


赤黒い瞳。


崩壊する城の上空へ。


士郎は静かに浮かんでいた。


轟音。


奈落城が崩れていく。


巨大な瓦礫。


神代文明最後の遺産。


全てが奈落へ沈み始めていた。



リゼが呆然と見上げる。


「……飛んでる」


グランも顔を引きつらせる。


「いや、もう驚くの疲れてきたんだけど……」


エレノアだけは黙っていた。


赤い瞳。


士郎を見る。


変わった。


確実に。


だが。


消えていない。


西園寺士郎そのものは。



士郎がゆっくり降りてくる。


黒い靄。


以前より濃い。


重い。


近づくだけで空気が軋む。


リゼが一歩下がった。


本能だった。


怖い。


なのに。


士郎本人はいつも通りだった。


「腹減ったな」


静寂。


リゼが叫ぶ。


「感想それ!?」



グランが乾いた笑いを漏らす。


「化け物になって第一声が飯かよ……」


士郎は少し肩を回す。


「力が増えた分、腹も減る」


黒い瞳。


赤が混ざっていても。


そこにあるのは、いつもの士郎だった。



エレノアが近づく。


赤い瞳。


真っ直ぐ士郎を見る。


「……本当に平気?」


珍しく。


少しだけ弱い声だった。


士郎は少し考える。


そして。


笑った。


「面白くなった」


エレノアが額を押さえる。


「聞いた私が悪かったわね……」



その時。


セレナが静かに言う。


「行き先は決まったわ」


全員の視線が向く。


紫の瞳。


妖しく笑う。


「魔族領」


リゼの顔が引きつる。


「嫌な予感しかしないんだけど!?」



セレナは続ける。


「奈落城が崩れた以上、向こうも気づく」


「“魔王”の気配にね」


静寂。


グランが眉をひそめる。


「向こう?」


「魔族」


空気が少し重くなる。



その頃。


遥か遠く。


魔族領。


巨大な黒城。


玉座の間。


白銀の髪を持つ少女が、静かに窓の外を見ていた。


紅い瞳。


小さな角。


黒いドレス。


魔族姫アルシア。



彼女の周囲では、上位魔族たちが跪いていた。


誰も口を開かない。


ただ。


少女だけが笑う。


「やっぱり」


紅い瞳が細くなる。


「退屈しなさそう」



アルシアは静かに立ち上がる。


長い白銀の髪が揺れる。


「迎える準備を」


魔族たちが頭を垂れる。


「はっ」


静寂。


そして。


少女は窓の向こうを見る。


遥か先。


崩壊した奈落城の方向。



「会いたいな」


小さく。


楽しそうに笑った。


「新しい“魔王”に」



奈落城跡地。


士郎は静かに空を見ていた。


赤黒い瞳。


黒い靄。


以前より重い存在感。


それでも。


その笑みだけは変わらない。


獰猛に。


楽しそうに。


「次はどいつだ」


風が吹く。


その先に待つのは。


魔族領。


そして。


新たな怪物たちだった。


第五章 奈落城編 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ