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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第五章『奈落城編』

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第86話 神代騎士団

奈落城地下。

神代騎士保存庫。


ドクン。


ドクン。


巨大扉の奥から、重い鼓動音が響いていた。


空気そのものが震えている。


濃密な魔力。


重い。


呼吸すら邪魔されるような圧迫感。



リゼが顔を青ざめさせる。


「な、何あれ……」


声が震えていた。


本能が警告している。


近づくな。


見てはいけない。


そんな感覚。


グランも冷や汗を流す。


「空気が重すぎる……」


剣を握る手に力が入る。


「冗談じゃねぇぞ」



エレノアの赤い瞳が細くなる。


珍しく余裕がなかった。


「早い……」


セレナも笑みを消している。


紫の瞳が巨大扉を見据えていた。


「想定よりずっと」


リゼが顔をしかめる。


「だから何がいるの!?」


静寂。


そして。


セレナが短く答えた。


「王に近いもの」


空気が冷える。



白銀の騎士が、ゆっくり巨大剣を下ろした。


赤黒い瞳。


士郎を見ている。


『試練』


低い声。


保存庫全体が震える。


『王へ至る資格を示せ』


次の瞬間。


神代騎士団が再び動いた。


轟音。


床が砕ける。


全方位から殺到。



槍。


斧。


双剣。


完全連携。


死角すら塞ぐ包囲。


グランが叫ぶ。


「囲まれる!!」


剣を振るう。


斬撃。


神代騎士の腕を断つ。


それでも止まらない。


切断されたまま突進してくる。


リゼが悲鳴を上げた。


「怖いってこれ!!」


エレノアが紅蓮を放つ。


爆炎。


複数体を吹き飛ばす。


しかし。


焼けながら前進してくる。


完全に兵器だった。



その中心。


士郎は笑っていた。


黒い靄。


以前より濃い。


身体へ馴染み始めている。


踏み込む。


拳。


ドゴォォォォン!!!


槍騎士の核粉砕。


返しの肘。


双剣騎士の顎を破壊。


膝蹴り。


戦斧騎士が吹き飛ぶ。


全部最短。


全部急所。


全部“殺し”。



セレナの紫の瞳が細くなる。


「もう学習してる……」


国家戦力級。


それを。


士郎は分析し。


適応し。


突破している。


戦いながら。


楽しみながら。



白銀の騎士が動く。


超高速。


巨大剣。


士郎へ振り下ろされる。


士郎は避けない。


踏み込む。


剣が肩を裂く。


血飛沫。


その代わり。


士郎の拳が白銀の騎士の胸部へめり込む。


轟音。


初めて白銀の騎士が後退した。



リゼが息を呑む。


「またわざと食らった……」


エレノアは静かだった。


もう理解している。


士郎は避けられる。


その上で。


最短で殺すために被弾を選ぶ。


完全な実戦思考。


そして。


死線そのものを愉しんでいる。



その時。


巨大扉の奥。


闇が動いた。


ドクン。


鼓動が強くなる。


保存庫全体が揺れた。


神代騎士たちが、一斉に跪く。


白銀の騎士も巨大剣を地へ突き立てる。


『……来る』


静寂。


そして。


巨大扉の隙間から。


“赤黒い瞳”が、ゆっくり開いた。


リゼが息を止める。


グランの顔が強張る。


エレノアが低く呟いた。


「嘘……」


士郎だけが笑っていた。


黒い瞳。


歓喜。


「強いな」

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