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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第五章『奈落城編』

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第85話 白銀の騎士

奈落城地下。

神代騎士保存庫。


静寂。


白銀の騎士が呟いた。


『原初の魔王に』


その瞬間。


カコン。


カコン。


カコン。


保存庫中へ、重い音が響いた。



無数の棺。


それが、一斉に開き始める。


黒い霧。


赤黒い光。


そして。


中から現れる神代騎士たち。


黒鉄。


白銀。


赤銅。


巨大な槍。


戦斧。


剣。


それぞれ武装も違う。


共通していたのは、瞳だった。


赤黒く光っている。


リゼの顔が青ざめる。


「……いやいやいや」


声が震えていた。


「多すぎでしょ!!」



グランも顔を引きつらせる。


「おい冗談だろ……」


十。


二十。


いや。


もっと。


保存庫の奥まで無数。


軍隊。


そんな言葉ですら軽かった。


まるで。


一国を滅ぼすためだけに作られた殺戮兵器群。



エレノアの表情が険しくなる。


「神代騎士団……」


赤い瞳が細くなる。


「最悪ね」


セレナは静かに笑っていた。


「神代文明の最終防衛戦力」


紫の瞳が士郎を見る。


「歓迎されてるみたいよ?」


リゼが即座に叫ぶ。


「全然嬉しくない歓迎なんだけど!?」



白銀の騎士が巨大剣を構える。


『選定』


低い声。


空間が震える。


『魔王足り得るか』


次の瞬間。


神代騎士たちが一斉に動いた。


轟音。


地面爆裂。


突撃。



速い。


重い。


しかも統率されている。


槍が来る。


横から斧。


死角から剣。


完全な連携。


グランが叫ぶ。


「囲まれるぞ!!」


エレノアが炎を放つ。


爆炎。


数体を吹き飛ばす。


それでも止まらない。


焼けながら前進してくる。


リゼが魔術を放つ。


衝撃波。


しかし数が多すぎた。



その時。


士郎は笑っていた。


黒い瞳。


歓喜。


「最高だ」


踏み込む。


拳。


ドゴォォォォン!!!


槍騎士の胸部核が砕け散る。


返しの肘。


斧騎士の頭部粉砕。


さらに回し蹴り。


赤銅騎士が吹き飛ぶ。


轟音。


破片。


火花。


完全な乱戦。



それでも。


騎士たちは止まらない。


白銀の騎士が踏み込む。


超高速剣撃。


士郎の頬が裂ける。


肩へ浅い傷。


血飛沫。


士郎は笑う。


「いい」



白銀の騎士の瞳が揺れる。


『歓喜……?』


理解できない。


死地。


包囲。


圧倒的不利。


なのに。


この男は笑っている。


原初の魔王。


あの存在と同じように。


戦場で。


破滅の中心で。


愉しむように。



士郎が踏み込む。


神代騎士三体の間を滑り抜ける。


最短。


最速。


拳。


膝。


肘。


全部が核だけを狙っていた。


轟音。


次々に崩れる神代騎士。


保存庫が揺れる。



そして。


白銀の騎士が初めて、僅かに目を見開いた。


『……本当に』


赤黒い瞳が細くなる。


『似ている』


次の瞬間。


保存庫の最奥。


巨大な門が、ゆっくり開き始めた。


重低音。


異常な魔力。


そして。


闇の奥から、何かの足音が響く。


ドン。


ドン。


ドン。


セレナの笑みが消えた。


「……早すぎる」


エレノアの顔色も変わる。


「嘘でしょ」


士郎だけが笑っていた。


「強いのか?」


闇の奥。


巨大な“影”が、ゆっくり立ち上がった。

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