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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第五章『奈落城編』

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第83話 奈落の門

奈落城外縁。


静寂。


神代騎士の胸部核へ、亀裂が走っていた。


赤黒い光が漏れ出す。

巨体が揺れる。


しかし。

まだ止まらない。



神代騎士の剣が振り下ろされる。


超重量。


士郎は拳を引き抜きながら後退。


轟音。


大地が割れる。

崖そのものが崩壊した。


リゼが顔を青ざめさせる。


「まだ動くの!?」


グランも舌打ちする。


「しぶてぇなクソが……!」



神代騎士の赤い瞳が揺れている。


壊れかけている。


その状態だからこそ危険だった。


暴走。


赤黒い光が全身へ走る。

空気が震える。


エレノアが叫んだ。


「離れて!!」


次の瞬間。


神代騎士の身体から、無数の光刃が放たれた。


轟音。


周囲の岩場が切断される。

森が消し飛ぶ。


完全な殲滅攻撃。



士郎は笑っていた。


黒い瞳。

歓喜。


全部見えている。


光刃の軌道。

死角。

空間の歪み。


魔王因子によって強化された超感覚が、神代兵器の攻撃を完全に捉えていた。



士郎が駆ける。


最短距離。


光刃の隙間を抜ける。


紙一重。


普通なら即死。


だが士郎には“見えている”。


酒場で取り込んだ神代核。


その影響で感覚がさらに鋭くなっていた。



神代騎士が咆哮する。


そして。


最後の一撃。


巨大剣へ赤黒い光が集束する。


空気そのものが軋む。


セレナの紫の瞳が細くなる。


「まずいわね」


エレノアも険しい顔だった。


「あれは城門破壊用……!」


グランが顔を引きつらせる。


「なんでそんなもん対人戦で使うんだよ!?」



士郎は止まらない。


むしろ踏み込む。


殺されるかもしれない。


その感覚に。


笑っていた。



神代騎士の剣が振り下ろされる。


終焉みたいな一撃。


轟音。

空間震動。


その瞬間。


士郎が消えた。


神代騎士の視界から。



次の瞬間。


士郎は神代騎士の真下にいた。


完全死角。


拳を握る。


黒い靄。


濃くなる。


そして。


放つ。


ドゴォォォォォォォン!!!


轟音。


拳が神代騎士の胸部核を貫いた。


赤黒い光が爆発する。


巨体が止まる。



静寂。


神代騎士の赤い瞳が揺れる。


そして。


ゆっくり崩れ落ちた。


轟音。


地面が揺れる。


奈落城外縁の門番。


神代騎士級。


完全停止。



リゼが呆然と呟く。


「……倒した」


グランも乾いた笑いを漏らす。


「ほんとに人間かアイツ……」



エレノアは笑っていなかった。


士郎を見る。


黒い靄。


さらに濃い。


しかも。


士郎自身が力の使い方へ慣れ始めている。


進行が早い。


早すぎる。



その時。


奈落城の巨大門が、ゆっくり開き始めた。


重低音。

霧。


そして。


奥から吹き出す異常な魔力。


リゼが震える。


「……何これ」


セレナは静かに笑った。


「歓迎されてるのよ」


門の奥は暗い。


底が見えない。


まるで。


巨大な生物の口の中みたいだった。



士郎は笑う。


黒い瞳。

歓喜。


「いいな」


そして。


黒狼は、“奈落”へ足を踏み入れた。

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