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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第五章『奈落城編』

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第82話 神代騎士

奈落城外縁。


濃霧の中。


巨大な神代騎士が立っていた。


五メートル級の巨体。

漆黒の全身甲冑。

頭部から伸びる巨大な角。

そして。

胸部で脈動する赤黒い核。


普通の神代兵とは存在感が違う。

まるで。

戦争そのもの。



神代騎士が剣を構える。


轟音。

空気が震える。


リゼが顔を青ざめさせた。


「絶対ヤバいってアレ……」


グランも険しい顔になる。


「今までの雑兵とは別格だな」


エレノアの赤い瞳が細くなる。


「神代騎士級……」


セレナは静かに笑った。


「奈落城の門番よ」



だが。

士郎だけは笑っていた。


「いい」


次の瞬間。


神代騎士が消える。


巨体とは思えない速度。

轟音。


超重量斬撃。


士郎は見切る。


最小動作。

回避。


剣が地面を叩き割った。


大地崩壊。

衝撃波で霧が吹き飛ぶ。



士郎が踏み込む。


拳。


ドゴォォォォン!!!


神代騎士の腹部へ直撃。


しかし。

止まらない。


普通の神代兵より遥かに硬い。


士郎の黒い瞳が細くなる。


「硬いな」



神代騎士の剣が振るわれる。


横薙ぎ。

超広範囲。


士郎は跳ぶ。


回避。


衝撃波だけで周囲の岩場が砕け散った。


リゼが叫ぶ。


「威力おかしいでしょ!?」


グランも冷や汗を流す。


「まともに食らったら終わるぞ……」



その時。

士郎は笑っていた。


楽しい。

強い。

しかも。

人間じゃない。


だから遠慮がいらない。



士郎が再び突撃する。


拳。

肘。

蹴り。


人体破壊術。


全部急所狙い。


神代騎士は痛覚すらない。

止まらない。


巨大な剣が士郎を追い込む。



次の瞬間。


剣が士郎の肩を掠める。


血飛沫。


それでも。

士郎は避けながら踏み込んでいた。


被弾覚悟。

完全な実戦思考。


距離を潰すための最適解。


そのまま。


肘打ち。


神代騎士の関節部へ直撃。


轟音。


初めて巨体が揺れた。



エレノアが目を細める。


「見つけたわね」


神代騎士。


装甲そのものは異常硬度。


だが。

可動部は違う。


そこだけは構造上、僅かに脆い。


士郎はもう理解していた。



神代騎士が咆哮する。


赤黒い光が全身へ走る。


次の瞬間。


無数の光弾が放たれた。


轟音。

爆発。


周囲一帯が吹き飛ぶ。


リゼたちも巻き込まれそうになる。


グランが叫ぶ。


「伏せろ!!」



爆煙。


その中。


黒い影が走る。


士郎。


全部見えていた。


光弾の軌道。

爆発範囲。

最短距離。


魔王因子によって強化された感覚が、神代兵器の攻撃すら解析している。



士郎が神代騎士の懐へ潜り込む。


そして。


拳を構えた。


狙うのは一つ。


胸部核。



神代騎士も剣を振り下ろす。


超重量。


直撃すれば即死。


士郎は笑っていた。


殺されるかもしれない。


その感覚が。


たまらなく心地良かった。



次の瞬間。


拳と剣が交差する。


轟音。


大地爆砕。


そして。


静寂。


神代騎士の胸部へ。


士郎の拳が突き刺さっていた。


赤黒い核に、亀裂が走る。


神代騎士の赤い瞳が揺れた。


まるで。


初めて“痛み”を知ったみたいに。

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