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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第73話 地下都市最強

地下闘技都市グラディウス。


中央闘技場。


地下最大。


数十万人規模。


普段は“拳王”ゴルド専用の舞台。


そこへ。


今夜、地下都市中の人間が集まっていた。


観客席は完全満員。


熱気。


歓声。


興奮。


そして。


恐怖。



「本当にやるのか……」


「拳王と黒狼……」


「どっちが勝つんだ……?」


誰も予想できない。


地下都市最強。


百戦無敗の王。


拳王ゴルド。


対するは。


突如現れた黒コートの怪物。


黒狼。


地下都市の空気そのものが震えていた。



闘技場入口。


士郎は静かに立っている。


黒いコート。


血の跡。


黒い靄。


エレノアが隣で笑う。


「完全に悪役ね」


「今さらだろ」


リゼは顔をしかめる。


「なんで嬉しそうなの……」


実際。


士郎は笑っていた。


久しぶりだった。


ここまで強い相手。


ここまで死を感じる相手。


身体が熱い。



その時。


闘技場全体が揺れた。


重い足音。


ゴルドが現れる。


歓声爆発。


「拳王ォォォォ!!」


「ゴルド!!」


「最強!!」


地下都市の絶対王者。


その登場だけで観客が熱狂する。


ゴルドは笑いながら闘技場へ降りた。


「待たせたな」


士郎も笑う。


「ああ」



実況が叫ぶ。


「始まるゥゥゥゥゥ!!」


「地下都市最強決定戦!!」


「拳王ゴルドVS黒狼ォォォォ!!」


歓声。


絶叫。


地鳴りみたいな熱狂。


それでも。


ゴルドと士郎だけは静かだった。


互いしか見ていない。



ゴルドが口を開く。


「お前、面白ぇな」


士郎は答える。


「お前もだ」


ゴルドは笑った。


「この街じゃ、誰も俺を殺せなかった」


その目が獰猛に歪む。


「だから退屈だった」


士郎の口元も歪む。


完全に同類。


壊れた戦闘狂。



次の瞬間。


両者が同時に踏み込んだ。


轟音。


地面爆砕。


観客席が揺れる。


拳。


拳。


真正面衝突。


衝撃波で闘技場外壁が砕ける。


観客たちが悲鳴を上げた。


「なんだこれ!?」


「人間じゃねぇ!!」



ゴルドの拳が士郎を掠める。


頬が裂ける。


それでも。


士郎は避けながら踏み込んでいた。


完全に見えている。


その上で。


攻撃を捨てて距離を潰している。


肘打ち。


膝。


喉打ち。


全部急所。


それでも。


ゴルドは止まらない。


「いい!!」


完全に笑っていた。



次の瞬間。


ゴルドの膝蹴り。


超重量。


士郎の身体が吹き飛ぶ。


闘技場の壁へ激突。


石壁崩壊。


観客席がどよめく。


「黒狼が押されてる!?」


グランの顔が険しくなる。


「いや……」


その目が細くなる。


「まだ笑ってる」



瓦礫の中。


士郎は立ち上がる。


血を吐く。


それでも。


黒い瞳は歓喜していた。


強い。


圧倒的。


殺されるかもしれない。


その感覚が。


たまらなく心地良かった。



その時。


ゴルドが踏み込む。


速い。


巨体とは思えない。


拳。


それでも。


士郎は見切る。


最小動作。


回避。


同時に。


拳を叩き込む。


ドゴォォォォン!!!


ゴルドの巨体が――初めて揺れた。


静寂。


観客席が凍る。


「……今」


「拳王が……?」


ゴルド自身も笑っていた。


心の底から嬉しそうに。


「最高だ黒狼」


その瞬間。


地下都市最強同士の殺し合いが、さらに加速した。

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