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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第71話 処刑人レオン

地下酒場。


空気が張り詰めていた。


黒蛇会。


地下都市最大勢力。


その幹部――“処刑人”レオン。


そして。


黒コートの怪物、西園寺士郎。



レオンは黒い短剣を抜いた。


細い刃。


暗殺用。


急所を裂くためだけの武器だった。


「お前、元々裏の人間だろ」


士郎は静かに見る。


レオンは続ける。


「動きで分かる。あれは闘士じゃない」


拳。


視線。


間合い。


全部が“殺し屋”。


目が細くなる。


「どこの組織だ?」


士郎は即答した。


「全部潰した」


沈黙。


グランが頭を抱える。


「サラッと言うな怖ぇよ……」


レオンは笑った。


「いいな」



次の瞬間。


レオンが消えた。


超高速。


短剣が士郎の喉を狙う。


しかし。


士郎は半歩だけずれた。


刃は空を裂く。


同時に。


士郎の拳がレオンの腹へ入る。


ドゴォォォォン!!!


レオンの身体が吹き飛ぶ。


机を粉砕し、壁へ激突した。


客たちが悲鳴を上げて逃げ出す。



レオンは血を吐きながら立ち上がる。


「……素手で俺の短剣を避けるか」


士郎は静かに歩く。


「遅い」


レオンの笑みが消えた。


次は正面からではない。


背後。


死角。


床を蹴る音すら消す。


完全な暗殺移動。


それでも。


士郎は振り向かずに肘を放った。


轟音。


レオンの顎へ直撃。


骨が軋む。


レオンは辛うじて後退する。


「見えているのか……?」


士郎は答えない。


見えていた。


呼吸。


重心。


筋肉の動き。


空気の乱れ。


そして。


刃の軌道。


アガルタ以降。


士郎の感覚は人間の領域を超え始めていた。



レオンが再び突っ込む。


短剣の連撃。


首。


脇腹。


腱。


目。


すべて急所。


それでも。


士郎は素手で捌く。


手首を弾く。


肘で軌道を潰す。


肩をぶつけて間合いを消す。


短剣は届かない。


届いたとしても。


士郎は止まらない。


刃が腕を掠める瞬間。


士郎は避けずに踏み込んだ。


薄く血が飛ぶ。


しかし。


それは被弾ではない。


距離を潰すための代償。


次の瞬間。


士郎の膝がレオンの腹を抉った。


レオンが血を吐く。



「……化け物が」


レオンは笑った。


恐怖ではない。


歓喜だった。


「当てても止まらねぇのか」


士郎も笑う。


「その程度ならな」


レオンは短剣を逆手に構える。


空気が変わる。


処刑人の本気。


しかし。


士郎の黒い瞳は冷えていた。


殺しの技術。


経験。


身体能力。


すべてが違う。


レオンは理解した。


目の前の男は、闘技場の怪物ではない。


本物の死線を渡ってきた殺し屋だ。



レオンが最後の一撃に出る。


完全な無音。


完全な死角。


心臓への刺突。


しかし。


士郎の手が、レオンの手首を掴んでいた。


静寂。


短剣の切っ先は、士郎の胸の前で止まっている。


レオンの目が見開かれる。


士郎は静かに言った。


「終わりだ」


拳。


ドゴォォォォン!!!


レオンの身体が酒場の壁を突き破って外へ吹き飛んだ。



静寂。


黒蛇会幹部。


“処刑人”レオン。


敗北。


士郎は血を払う。


その時。


酒場の入口から、重い拍手が響いた。


全員が振り向く。


そこには、巨大な男が立っていた。


三メートル近い巨体。


全身傷だらけ。


圧倒的威圧感。


グランの顔色が変わる。


「おい……マジかよ」


リゼが震える。


「誰……?」


グランは乾いた声で呟いた。


「地下都市の王だ」


巨大な男は、士郎を見下ろして笑った。


「面白ぇ新人がいるじゃねぇか」

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