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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第68話 地下都市の王

地下奴隷闘技場。


静寂。


さっきまで歓声を上げていた観客たちは、もう誰も笑っていなかった。


床には死体。


血。


砕けた武器。


そして中央には。


黒コートの男。


西園寺士郎。


まるで。


最初から人を殺すためだけに生まれてきたみたいな立ち姿だった。



上層席。


ドグマの額から汗が流れる。


理解できなかった。


護衛は精鋭。


奴隷闘士も強い。


この闘技場では絶対だった。


なのに。


数分で壊滅した。


しかも相手は一人。


ドグマが怒鳴る。


「な、何してる!! 殺せ!!」


しかし。


護衛たちは動けない。


怖かった。


士郎の目が。


まるで。


次に誰を殺すか選んでいる肉食獣みたいだった。



士郎は静かに歩く。


上層席へ向かって。


ゆっくり。


それでも。


誰も止められない。


観客たちも道を空けていく。


リゼが小さく呟く。


「……完全に魔王」


グランが乾いた笑いを漏らす。


「今さらだろ」


エレノアは楽しそうだった。


「あら、まだ人間っぽいわよ?」


「基準がおかしい!!」



その時。


ドグマの隣にいた大男が前へ出る。


全身重装甲。


巨大戦斧。


顔中傷だらけ。


地下都市最上位クラスの用心棒。


“虐殺鬼”ガルド。


観客席がざわつく。


「ガルドだ……!」


「ドグマの最終護衛……!」


百人以上を処刑してきた怪物。


それでも。


ガルドは士郎を見るなり笑った。


「なるほど」


戦士の目だった。


「テメェ、本当に強ぇな」


士郎も少し笑う。


「ああ」



次の瞬間。


ガルドが突進した。


轟音。


重装甲とは思えない速度。


巨大戦斧が士郎へ振り下ろされる。


しかし。


士郎は最小動作で回避。


同時に。


肘打ち。


ガルドの脇腹へ直撃。


重装甲が陥没する。


ガルドが笑う。


「いい!!」


完全に戦闘狂だった。



次の瞬間。


戦斧連撃。


横薙ぎ。


振り下ろし。


踏み潰し。


闘技場そのものが壊れ始める。


それでも。


士郎は全部捌く。


受け流し。


急所潰し。


関節破壊。


完全に“殺し”として完成された動き。


ガルドの顔から笑みが消える。


「……なんだその技術」


士郎は答えない。


拳。


膝。


喉打ち。


全部が致命傷。


しかも。


人間離れした速度と威力。


――だから止められない。



観客席も静まり返っていた。


誰かが呟く。


「怪物だ……」


もう誰も試合だと思っていない。


一方的な処刑。


それに近かった。



その時。


ガルドが咆哮する。


闘気爆発。


筋肉膨張。


実況が震える。


「ガ、ガルドの狂化だァ!!」


赤黒い闘気。


巨大化する肉体。


地下都市で恐れられる理由。


それでも。


士郎は笑った。


「悪くない」


次の瞬間。


両者が激突する。


轟音。


衝撃波で観客席が吹き飛ぶ。


そして。


静寂。


ガルドの目が見開かれる。


士郎の拳が。


重装甲ごと胸を貫いていた。


血飛沫。


ガルドは数秒呆然とし。


そして。


笑った。


「……最高だ」


崩れ落ちる。


地下都市最上位護衛。


“虐殺鬼”ガルド。


死亡。



静寂。


そして。


士郎が再びドグマを見る。


黒い瞳。


冷たい。


ドグマの顔が青ざめる。


初めて理解した。


この男。


金でも。


権力でも。


脅しでも止まらない。


――純粋な“死”だ。


士郎は静かに言う。


「逃げるか?」


その瞬間。


ドグマが悲鳴を上げながら走り出した。

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