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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第64話 殺しの技術

地下闘技場。


静寂。


“紫電”カインの奥義。


超高速剣舞。


誰も見えなかった。


観客たちは確信していた。


終わった、と。


――それでも。


士郎は立っていた。


血まみれで。


笑いながら。



カインの顔から笑みが消える。


理解できなかった。


今の斬撃は全部入った。


致命傷のはず。


なのに。


この男は倒れない。


むしろ。


嬉しそうだった。


士郎はゆっくり振り向く。


「いい」


その瞬間。


拳。


ドゴォォォォン!!!


カインは反射的に剣で防御する。


しかし。


重い。


凄まじい衝撃。


カインの身体が吹き飛ぶ。


地面を滑り、壁へ激突。


観客席がどよめく。


「防いだのに……!」


「なんだあの威力!!」



カインは立ち上がる。


腕が痺れていた。


それでも。


本当に恐ろしいのは威力ではない。


士郎の動き。


無駄がない。


最短。


最速。


全部が“殺し”として完成されている。


紫の瞳が細くなる。


「……お前」


士郎は静かに歩く。


獣のような圧力。


しかし。


動きそのものは異様に洗練されていた。



次の瞬間。


カインが再び消える。


超高速斬撃。


しかし。


士郎の腕が動く。


最小動作。


剣筋を逸らす。


そのまま踏み込み。


肘打ち。


関節破壊。


喉への貫手。


全部が一瞬だった。


カインが無理やり後退する。


紫の瞳に驚愕が走る。


「なんだその技術……!」


士郎は答えない。


拳法。


軍隊格闘術。


暗殺術。


人体破壊術。


あらゆる殺人技術が混ざっている。


しかも。


それを超人的身体能力で使っている。


――だから。


手がつけられない。



観客たちも気づき始めていた。


「なんだアイツ……」


「ただ力が強いんじゃねぇ……」


「動きがおかしい……!」


実況ですら言葉を失っていた。


試合ではない。


――処刑術だった。



カインが踏み込む。


二刀流連撃。


超高速。


それでも。


士郎は全部捌く。


受け流し。


急所潰し。


体勢崩し。


カインの動きが、徐々に乱されていく。


顔から余裕が消えた。


「読まれてる……!」


士郎は静かだった。


殺し屋。


その経験値が違う。


何百何千という死線。


その中で磨き続けた技術。


だから。


純粋な戦闘技術では、士郎の方が上だった。



その時。


カインの剣が士郎の脇腹を裂く。


血飛沫。


しかし。


士郎は止まらない。


むしろ。


踏み込む。


カインの目が見開かれる。


「……!」


普通なら下がる。


しかし。


この男は違う。


傷を利用して距離を潰す。


完全に実戦の動き。


次の瞬間。


士郎の拳がカインの腹へ突き刺さる。


轟音。


カインが血を吐く。


身体が浮く。


それでも。


空中で無理やり体勢を変え、斬撃を放つ。


士郎の頬が裂ける。


二人とも笑っていた。


完全に戦闘狂同士だった。


リゼが頭を抱える。


「なんで嬉しそうなのこの人たち……」


エレノアは楽しそうに笑う。


「分かり合ってるのよ」


「嫌すぎる理解!!」



その時。


カインが後退る。


呼吸が荒い。


腕も震えている。


しかし。


紫の瞳だけは死んでいなかった。


むしろ。


興奮している。


「いいな、お前」


士郎も笑う。


「ああ」


観客たちは理解し始めていた。


昨日の新人。


そんなレベルじゃない。


本物だ。


黒コートの怪物。


地下闘技都市を壊しかねない存在。



次の瞬間。


カインが両剣を構える。


空気が変わる。


実況が震える声を上げた。


「ま、まさか……!」


観客席もざわつく。


「出すのか……!」


「まだ奥があったのかよ!」


カインは静かに笑う。


「次で終わらせる」


士郎は獰猛に笑った。


「来い」


その瞬間。


闘技場の空気が、殺気で凍りついた。

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