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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第60話 巨鬼

地下闘技場。


歓声が揺れていた。


「バルガン!!」


「殺せぇぇぇ!!」


「潰せ!!」


観客たちは総立ちだった。


闘技場中央。


巨鬼化したバルガン。


筋肉がさらに膨張し、全身へ赤黒い闘気が走っている。


もはや人間サイズではない。


怪物。


そのものだった。



実況が絶叫する。


「これがァァァ!! 地下闘技都市最強!! “巨人殺し”バルガンの本気だァァァ!!」


観客が熱狂する。


今までこの姿を見て、生き残った相手はいない。


全員。


潰された。


――それでも。


士郎だけは笑っていた。


「いい」



次の瞬間。


バルガンが突進する。


轟音。


闘技場の地面が砕ける。


速い。


巨体とは思えない速度。


そして。


拳。


空気そのものが爆ぜる超重量打撃。


しかし。


士郎は避けない。


真正面から拳を叩き込む。


激突。


衝撃波。


観客席の壁が吹き飛ぶ。


実況席が揺れる。


誰も声を出せなかった。


殴り合いの規模ではない。


――怪獣戦争だった。



バルガンの拳が士郎の腹へ突き刺さる。


轟音。


士郎の身体が吹き飛ぶ。


壁へ激突。


石壁が崩落する。


観客が熱狂する。


「決まったァァァ!!」


しかし。


煙の中から。


笑い声。


士郎だった。


血を吐きながら。


笑っている。


「最高だ」


観客席が静まり返る。


誰かが呟く。


「なんだアイツ……」



バルガンも笑っていた。


「お前、本当に人間か?」


士郎は瓦礫を払いながら立ち上がる。


「知らん」


そして。


踏み込む。


轟音。


今度は士郎が突撃した。


拳。


肘。


膝。


人体破壊術。


全部急所。


全部必殺。


バルガンの巨体が揺れる。


肋骨が砕ける音。


血飛沫。


それでも。


バルガンは倒れない。



観客たちは完全に飲まれていた。


「なんで立ってる!?」


「化け物だろ!!」


「どっちも!!」


リゼは顔をしかめる。


「もう試合じゃないよこれ……」


エレノアは静かに笑った。


「最初からそうでしょう?」



その時。


バルガンが咆哮する。


闘気爆発。


筋肉がさらに膨張する。


実況が絶叫した。


「限界突破ァァァ!!」


地下闘技都市最強。


その本気。


バルガンが地面を砕きながら突進する。


士郎は笑う。


黒い靄がわずかに漏れた。


エレノアの赤い瞳が細くなる。


「……また濃くなった」



次の瞬間。


両者が激突する。


拳。


真正面。


一歩も引かない。


轟音。


闘技場全体が揺れる。


そして。


バルガンの腕が砕けた。


静寂。


観客たちの顔が凍る。


士郎の拳。


ただ一撃。


それだけで。


巨鬼化したバルガンの腕が、内側から爆散していた。


バルガン自身も目を見開く。


「……は?」


士郎は少し笑う。


「終わりか?」


その瞬間。


地下闘技場全体が静まり返った。

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