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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第59話 百戦無敗

地下闘技都市グラディウス。


巨大円形闘技場。


数万人の観客が熱狂していた。


「殺せぇぇぇ!!」


「バルガン!!」


「潰せぇぇぇ!!」


血。


酒。


狂気。


それがこの都市の日常だった。



闘技場中央。


巨人のような男が立っている。


百戦無敗。


“巨人殺し”バルガン。


二メートルを超える巨体。


鋼のような筋肉。


人間離れした怪力。


今まで百人以上を闘技場で殺してきた怪物。


そのバルガンが。


観客席の士郎を睨んでいた。


「降りてこい」


歓声が爆発する。


新しい獲物。


新しい殺し合い。


観客たちは興奮していた。



士郎は静かに闘技場へ降りる。


黒いコート。


無表情。


――それでも。


その目だけは獰猛だった。


実況が叫ぶ。


「挑戦者ァァァ!! 無名!! 所属不明!! 名前も分からねぇぇぇ!!」


観客が笑う。


「秒殺だ!!」


「バルガンに勝てるわけねぇ!!」


リゼは頭を抱えていた。


「なんで毎回こうなるの……」


エレノアは楽しそうに笑う。


「運命じゃない?」



闘技場中央。


バルガンは士郎を見下ろす。


「名前は?」


「士郎」


「そうか」


バルガンは笑う。


獰猛に。


「死ぬなよ」


次の瞬間。


轟音。


バルガンが地面を砕きながら突進した。


速い。


巨体とは思えない。


観客が熱狂する。


しかし。


士郎は避けない。


真正面から拳を叩き込んだ。


激突。


空気が爆ぜる。


静寂。


そして。


観客たちの顔が凍った。


止まっていた。


バルガンの突進が。


――拳一つで。



バルガンの目が見開かれる。


士郎は少し笑った。


「悪くない」


次の瞬間。


拳。


ドゴォォォォン!!!


バルガンの巨体が吹き飛ぶ。


闘技場外壁へ激突。


石壁が陥没する。


観客席が静まり返った。


実況すら止まる。


「……え?」



しかし。


バルガンは立ち上がった。


口から血を流しながら。


そして。


笑った。


「最高だ……!」


完全に戦闘狂だった。


再び突っ込む。


連打。


重い。


速い。


普通の戦士なら肉片になる。


それでも。


士郎は全部受ける。


避けない。


殴り返す。


轟音。


拳と拳。


真正面からの殴り合い。


観客たちが熱狂し始める。


「なんだアイツ!?」


「真正面から殴り合ってるぞ!!」


「化け物同士かよ!!」



バルガンの拳が士郎の顔面へ入る。


血が飛ぶ。


しかし。


士郎は笑った。


「いい」


その瞬間。


観客席がざわつく。


「笑った……?」


「殴られて笑ってやがる……」


バルガンですら、一瞬だけ寒気を覚えた。


この男。


おかしい。


痛みを恐れていない。


――むしろ。


喜んでいる。



士郎が踏み込む。


拳。


肘。


膝。


人体破壊術。


バルガンの肋骨が砕ける。


巨体が揺れる。


それでも。


バルガンも笑っていた。


「最高だ!!」


完全に意気投合していた。


リゼが頭を抱える。


「なんで戦闘狂ばっか寄ってくるの……」


エレノアは楽しそうだった。


「類友ね」



その時。


バルガンが咆哮する。


全身の筋肉が膨張。


赤黒い闘気が噴き出した。


実況が叫ぶ。


「出たァァァ!! バルガンの“巨鬼化”だァァァ!!」


観客が総立ちになる。


地下闘技都市最強。


その異名の理由。


士郎の口元が歪む。


「強いな」


次の瞬間。


巨鬼化したバルガンが、闘技場を砕きながら突撃した。

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