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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第四章『地下闘技都市編』

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第58話 暴力都市

地下闘技都市グラディウス。


異世界最大の無法地帯。


犯罪者。

傭兵。

奴隷商人。

貴族。

魔族。

亜人。


“強さ”だけを信仰する怪物たちが集まる都市。


そこでは。


法律より拳が重かった。



地下巨大空洞。


無数の灯り。


歓声。


酒。


血。


闘技場では、今日も誰かが殺されている。


観客たちは熱狂していた。


「殺せぇぇぇ!!」


「頭潰せ!!」


「立てゴミが!!」


完全な狂気。


――それでも。


士郎は少し笑った。


「悪くない」


リゼが顔をしかめる。


「最悪だよこんな街……」


エレノアは楽しそうだった。


「あなたには居心地良さそうね」


「静かでいい」


「どこが!?」



アガルタ崩壊後。


士郎たちは情報収集のため、この都市へ来ていた。


理由は一つ。


“魔王”。


神代文明。


原初の残滓。


その痕跡が、この都市に集まっているらしい。


そしてもう一つ。


この都市には、“世界最強クラス”が集まる。


それだけで。


士郎には十分だった。



通りを歩く。


すると。


周囲の視線が集まり始めた。


黒いコート。


異常な殺気。


そして。


隣には灰の魔女。


誰もが察する。


――関わってはいけない。


しかし。


無法都市には馬鹿もいる。


大男が道を塞いだ。


二メートル超。


筋肉の塊。


片目に傷。


闘技場常連の用心棒だった。


「おい兄ちゃん」


士郎は止まらない。


男が肩を掴む。


「無視してんじゃ――」


次の瞬間。


ドゴォォォォン!!!


男の身体が吹き飛んだ。


壁へ激突。


石壁が陥没する。


静寂。


周囲のチンピラたちの顔が凍る。


士郎は振り返りもしない。


「邪魔だ」


リゼがため息を吐く。


「また始まった……」



その時。


闘技場側から歓声が響いた。


巨大な円形闘技場。


数万人規模。


観客は総立ち。


中央では、一人の巨漢が相手を握り潰していた。


血飛沫。


歓声。


実況が叫ぶ。


「出たぁぁぁ!! 百戦無敗!! 巨人殺しのバルガンだぁぁぁ!!」


巨漢――バルガン。


地下闘技都市現チャンピオン。


人間離れした怪力。


これまで挑戦者を百人以上殺している怪物。


そのバルガンが。


観客席の士郎を見た。


沈黙。


そして。


笑った。


獰猛に。


「……いい目してるな」


士郎も笑う。


「お前、強いのか?」


その瞬間。


闘技場全体がざわついた。


「誰だあいつ……」


「バルガンに喧嘩売ったぞ……!」


エレノアは面白そうに笑う。


リゼは頭を抱えた。


「入って五分で問題起こさないで!!」



バルガンは立ち上がる。


巨大な身体。


圧倒的威圧感。


そして。


士郎を指差した。


「お前、降りてこい」


歓声。


熱狂。


観客たちが叫ぶ。


新しい獲物。


新しい殺し合い。


地下闘技都市グラディウスが、さらに熱狂していく。


その中心で。


士郎は静かに笑った。


「いい」


第四章『地下闘技都市編』 開幕。

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