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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第三章 『魔女と死神編』

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第54話 魔王城への門

古代都市アガルタ最深部。


巨大な黒門が、ゆっくり開いていく。


轟音。


地面が震える。


門の表面に刻まれた古代文字が赤黒く発光していた。


溢れ出す魔力。


重い。


濃い。


まるで。


世界そのものが腐っているみたいな気配。


グランが顔を引きつらせる。


「なんだよ……これ……」


リゼは息苦しそうに胸を押さえた。


普通の人間では立っているだけで限界だった。


だが。


士郎だけは静かだった。


むしろ。


笑っている。


「いいな」



エレノアは黒門を見上げる。


赤い瞳が細くなる。


「神代文明は、本当に存在していたのね」


リゼが聞く。


「どういうこと?」


エレノアは静かに答える。


「魔王城は伝説だったの」


神話。


御伽話。


“原初の魔王”が支配していた城。


神々と戦争を起こした場所。


世界を半壊させた災厄の中心。


だが。

目の前にある。

実在している。



その時。

黒門の奥から、重い足音が響いた。


ゴォン。


ゴォン。


巨大。


空気が震える。


グランが武器を握る。


「また来るぞ……!」


次の瞬間。


門の奥から現れた。


黒鎧。


巨大盾。


長槍。


人型。


だが。

人間ではない。


古代魔兵。


しかも。


今までの機兵とは別格。


その数。


数十。


いや。


百以上。


リゼの顔が青ざめる。


「うそでしょ……」


エレノアですら少し眉をひそめた。


「魔王城親衛兵……」



古代魔兵たちの赤眼が一斉に士郎を向く。


そして。


機械音声。


【魔王因子確認】


【主帰還認定開始】


沈黙。


リゼの顔が凍る。


グランも絶句した。


主。


帰還。


つまり。

こいつらは。


士郎を――。


だが。


士郎本人は興味なさそうだった。


「強いのか?」

エレノアが笑う。


「本当にそこしか見てないのね」



次の瞬間。


古代魔兵たちが一斉突撃した。


轟音。



地面が砕ける。


超高速。


完全武装。


だが。

士郎は笑った。


そして。

真正面から突っ込む。


拳。


ドゴォォォォン!!


古代魔兵の頭部が吹き飛ぶ。


さらに踏み込み。


膝蹴り。

肘打ち。

人体破壊術。


黒鎧が砕け散る。


だが。

数が多い。


背後から長槍が迫る。


その瞬間。


灰色魔法陣。


エレノア。


空間ごと槍を圧縮粉砕する。


「後ろくらい見なさい」


士郎は振り返らない。


「必要ない」


「自信家」


「お前がいる」


沈黙。


リゼが固まる。


グランが吹き出す。


「今の口説いてたのか?」


エレノアは一瞬だけ目を見開き。


そして。


妖艶に笑った。


「嬉しいわ」


リゼが頭を抱える。


「なんでこの状況でそんな空気になるの!?」



戦闘は激化する。


古代魔兵。


一体一体が国家騎士団長級。


普通なら絶望。


だが。

士郎とエレノアは止まらない。


黒狼。


灰の魔女。


二つの災厄が並んで暴れていた。



その時。


黒門の奥。


さらに濃い魔力。


空気が変わる。


エレノアの顔から笑みが消えた。


「……来る」


士郎の口元が歪む。


強い。


今までで一番濃い。


次の瞬間。


黒門の奥から。


巨大な“玉座”が現れた。


否。


違う。


玉座そのものが生きている。


黒い肉。


無数の眼。


脈動する魔力。


そして。


その中心。


王冠を被った“何か”が、静かに士郎を見下ろしていた。

その瞬間。


古代都市アガルタ全体が震えた。

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