第51話 魔王認定
古代都市アガルタ。
都市全体が揺れていた。
塔の頂上。
黒鎧の巨人――古代騎士。
その赤い単眼が、西園寺士郎を捉えている。
そして。
機械音声が響いた。
【魔王反応確認】
【殲滅対象指定】
空気が凍った。
リゼの顔が青ざめる。
「ま、魔王って……」
グランも息を呑む。
「機械まで言いやがったぞ……」
だが。
士郎だけは静かだった。
むしろ。
少し笑っている。
「面白い」
◇
次の瞬間。
古代騎士が動いた。
轟音。
塔から飛び降りる。
巨大剣を振り下ろす。
超重量斬撃。
大地が裂ける。
士郎は真正面から拳を叩き込んだ。
激突。
衝撃波。
周囲の建物が吹き飛ぶ。
グランが絶句する。
「止めるのかよォ!?」
だが。
今までの敵とは違う。
古代騎士は止まらない。
巨大剣が士郎を押し込む。
地面が陥没。
士郎の腕から血が飛ぶ。
重い。
ゼクト以上。
災厄級以上。
士郎の口元が歪む。
「いい」
完全に楽しんでいた。
◇
古代騎士が連撃へ入る。
超高速。
巨体とは思えない。
剣圧だけで建物が崩壊する。
士郎は回避。
紙一重。
そして踏み込む。
拳。
轟音。
黒鎧へ直撃。
だが。
砕けない。
士郎の目が細くなる。
「硬いな」
古代騎士の赤眼が光る。
【脅威度上昇】
【封印機構解除】
その瞬間。
黒鎧全体へ赤い紋様が走った。
魔力暴走。
空気が震える。
エレノアの顔が少し険しくなる。
「まずいわね」
リゼが叫ぶ。
「何が!?」
「本気モードよ」
◇
次の瞬間。
古代騎士が消えた。
速い。
士郎の背後。
巨大剣が振り下ろされる。
轟音。
士郎が吹き飛ぶ。
黒壁へ激突。
都市全体が揺れる。
リゼが悲鳴を上げる。
「士郎!!」
煙。
だが。
その中から笑い声。
士郎だった。
血まみれ。
口元から血を流しながら。
笑っている。
「最高だ」
グランが完全に引いていた。
「こいつほんと狂ってやがる……」
◇
エレノアは静かに士郎を見つめる。
黒い靄。
さらに濃い。
アガルタへ入ってから、反応が急激に強まっている。
まるで。
この都市そのものが、士郎の中の“何か”を刺激しているみたいだった。
エレノアは小さく呟く。
「近いわね……」
◇
古代騎士が巨大剣を構える。
都市中の魔力が集まり始める。
アガルタ全体が唸っていた。
エレノアの赤い瞳が細くなる。
「あれは危険ね」
士郎が笑う。
「いいじゃないか」
「死ぬわよ?」
「そうかもな」
即答。
リゼの顔が曇る。
この男は。
本当に死を恐れていない。
むしろ。
死に近づくほど嬉しそうになる。
◇
古代騎士が機械音声を響かせる。
【最終殲滅機構、起動】
次の瞬間。
巨大剣が赤黒く発光した。
空気が裂ける。
都市全域へ警報が鳴り響く。
【対魔王最終兵装】
【起動】
沈黙。
エレノアが静かに笑った。
「ふふ」
リゼが震える。
「笑うところ!?」
だが。
エレノアは士郎を見る。
「愛されてるわね」
士郎は拳を握る。
黒い靄が溢れる。
そして。
獰猛に笑った。
「来い」
次の瞬間。
古代騎士の最終兵装が解放された。




