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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第七章 『怪物達編』

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第二部 第224話 初めての願い


空間が軋んだ。


轟音。


石床が砕ける。


士郎の拳。


翔の蹴り。


最初の観測者の身体が崩れる。


死ぬ。


壊れる。


戻る。


終わらない。


だが。


少しだけ違った。


最初の観測者が。


笑っていた。


本当に少しだけ。


ほんの少しだけ。


自然に。


士郎が笑う。


目が細い。


「いいな」


短く。


「顔っぽくなってきた」


最初の観測者が少し止まる。


「顔」


少し間。


「変ですか」


翔が煙を吐いた。


静かな目。


「まぁ」


少し間。


「前よりマシ」


最初の観測者が少し考える。


長い沈黙。


そして。


小さい声。


「……嫌ではありません」


静かな声。


「これ」


少し間。


「悪くない」


笑うものが少しだけ目を丸くする。


『自分の感情を肯定した……』


小さい声。


今度は独り言だった。


セレナが静かな目を向ける。


「変わってますね」


少し間。


「少しずつ」


最初の観測者は静かだった。


士郎を見る。


翔を見る。


小さい声。


「あなた達と居ると」


少し間。


言葉を探す沈黙。


「変です」


士郎が笑った。


「褒め言葉だな」


翔が煙を吐く。


静かな声。


「毒されてるだけだ」


ほんの少しだけ。


最初の観測者の口元が緩む。


前より自然だった。


「……毒」


少し間。


「悪くありません」


沈黙。


そして。


初めて。


少しだけ迷いながら。


小さい声。


「また」


少し間。


「話したい」


静かな空間。


誰も少し止まった。


笑うものが小さく呟く。


『……あ』


小さい声。


『今、自分から言ったな』


士郎が少し笑った。


目が細い。


「あぁ」


短く。


「いいぞ」


翔が煙を吐く。


少し間。


「少しくらい」


静かな声。


「付き合ってやる」


最初の観測者が。


ほんの少しだけ。


嬉しそうに笑った。


初めてだった。


「……はい」


静かな声。


「したいです」


空間が静かに揺れた。

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