第二部 第222話 終われない怪物
静寂が落ちていた。
最初の観測者はまだ少し止まっていた。
困ったみたいな。
分からないみたいな。
小さい笑みのまま。
「……気分」
少し間。
「よくない」
静かな声。
「そうかもしれません」
本当に長い沈黙。
まるで。
初めて知った感覚を確かめるみたいに。
士郎が鼻を鳴らした。
「なるほどな」
短く。
「終われねぇのか」
最初の観測者は静かだった。
「ええ」
少し間。
「終われません」
静かな声。
「止まりません」
「壊れません」
ほんの少しだけ。
目が伏せられる。
「だから」
小さい声。
「終わりを知りません」
翔が煙を吐いた。
静かな目。
少し間。
「……面倒だな」
短く。
「死ねねぇのも」
最初の観測者が翔を見る。
静かな沈黙。
士郎は少し笑った。
目が細い。
「で?」
短く。
「死にてぇのか」
沈黙。
長い沈黙。
本当に長い時間。
最初の観測者は初めて考えるようだった。
小さい声。
「……分かりません」
少し間。
「考えた事がありません」
静かな声。
「必要ありませんでした」
セレナが静かな目を向ける。
「終われないから」
最初の観測者は小さく頷く。
「終わらないので」
少し間。
「考える意味がありませんでした」
笑うものが小さく息を吐く。
『……それも地獄だな』
今度は小さかった。
ツッコミではなく。
ただの感想だった。
最初の観測者は静かに笑う。
本当に少しだけ。
「そうかもしれません」
士郎が肩を鳴らす。
少し間。
「じゃあ」
目が細い。
「初めて考えろ」
沈黙。
最初の観測者が少し止まる。
士郎は少し笑った。
「終われねぇなら」
短く。
「何して生きるか」
静かな空間。
誰も喋らなかった。
ほんの少しだけ。
最初の観測者の目が揺れた。




