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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第七章 『怪物達編』

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第二部 第219話 もっと


静寂は続いていた。


崩れた石床。


砕けた空間。


終わらない戦い。


死ぬ。


戻る。


壊れる。


戻る。


何も終わらない。


何も決まらない。


それでも。


空気だけが少し変わっていた。


最初の観測者が笑っていた。


本当に小さく。


ほんの少しだけ。


笑うものがまだ少し呆けていた。


『……マジで言ったんだな』


小さい声。


『楽しいって』


最初の観測者は静かだった。


否定もしない。


ただ。


小さい声。


「はい」


少し間。


「楽しいです」


士郎が鼻を鳴らす。


少し笑っていた。


「なら良かったな」


短く。


「殴り甲斐ある」


次の瞬間。


石床が砕ける。


轟音。


士郎の拳。


真正面。


頭蓋が砕ける。


身体が崩れる。


死ぬ。


だが。


次の瞬間。


戻る。


翔が煙を吐いた。


静かな目。


少し間。


「……慣れた」


短く。


「その光景」


最初の観測者は静かに立っている。


ほんの少しだけ。


口元が緩んでいた。


「面白いですね」


静かな声。


「あなた達は」


少し間。


「壊れません」


士郎が笑う。


「お前もな」


翔が煙を吐く。


静かな目。


「お互い気持ち悪りぃ」


ほんの少しだけ。


最初の観測者の目が細くなる。


初めてだった。


少しだけ。


感情みたいなものが混ざる。


「……そうかもしれません」


セレナが静かに見ていた。


小さい声。


「変わってきてますね」


笑うものが少し首を傾げる。


『……変わってるか?』


セレナは静かなまま。


最初の観測者を見る。


「初めてです」


少し間。


「誰かと居て」


静かな声。


「変わっていくのは」


沈黙。


最初の観測者は少し止まった。


小さい声。


「変化」


静かな目。


少し間。


「これが?」


士郎が肩を鳴らした。


「知らねぇけど」


短く。


「楽しいなら十分だろ」


長い沈黙。


最初の観測者は二人を見る。


理解できない。


観測できない。


予測もできない。


なのに。


退屈ではない。


楽しい。


そして。


ほんの少しだけ。


初めて。


そう思った。


「……続けたい」


沈黙。


自分でも少し驚いたみたいに。


小さい声。


「もっと」


静かな空間。


誰も何も言わなかった。


そして。


士郎が少し笑う。


目が細い。


「いいな」


短く。


「もう一回だ」


最初の観測者が。


初めて。


自分から一歩前へ出た。


「ええ」


静かな声。


「是非」


その瞬間。


空間が軋んだ。

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