第二部 第213話 絶望
静寂が落ちた。
崩れた石床。
終われない戦い。
壊れる。
戻る。
死ぬ。
戻る。
普通なら。
もう折れている。
だが。
士郎は少し笑っていた。
翔は煙を吐いていた。
最初の観測者の目が、ほんの少しだけ揺れている。
長い沈黙。
小さい声。
「……理解できません」
少し間。
「何故」
静かな目。
「絶望しないのですか」
士郎は肩を鳴らした。
面倒そうだった。
崩れた拳を見る。
戻った腕を見る。
少し間。
「面白ぇから」
短く。
「以上」
笑うものが固まる。
『理由それ!?』
士郎は気にしない。
少し笑っていた。
目が細い。
「強ぇ」
短く。
「壊れねぇ」
少し間。
「退屈しねぇ」
翔が煙を吐く。
静かな目。
最初の観測者を見る。
「絶望する理由が無い」
少し間。
「殺せねぇだけだ」
煙を吐く。
静かな声。
「まだな」
最初の観測者が止まる。
長い沈黙。
理解しようとするみたいに。
二人を見る。
小さい声。
「皆」
少し間。
「終わらない痛みを恐れました」
静かな目。
「死ねない事を恐れました」
ほんの少しだけ。
遠くを見る。
「やがて」
少し間。
「諦めました」
セレナが静かな目で見ていた。
小さい声。
「……だから」
少し間。
「ずっと独りだったんですね」
沈黙。
最初の観測者は否定しなかった。
ただ。
静かだった。
士郎が鼻を鳴らす。
「暇そうだな」
笑うものが止まる。
『感想それ!?』
翔が煙を吐いた。
静かな目。
少し間。
「で」
短く。
「お前」
少し間。
「攻撃、それだけか?」
沈黙。
最初の観測者が初めて少しだけ止まった。
ほんの少し。
目が細くなる。
「……それだけではありません」
次の瞬間。
空間そのものが、軋んだ。




