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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第七章 『怪物達編』
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第二部 第206話 認識違い


静寂は変わらなかった。


果ての見えない石床。


中央の玉座。


その後ろに立つ存在。


翔の霧流掌を受けても。


何も起きない。


傷も。


変化も。


死も無い。


ただ。


そこに居る。


笑うものが乾いた顔になる。


『いや待って』


少し間。


『もう意味分かんないんだけど』


『死が効かないって何だよ』


士郎は玉座に座ったまま。


少し笑っていた。


退屈そうだった目が。


ほんの少しだけ細い。


「面白ぇな」


短く。


「お前、誰だ?」


相手はすぐには答えなかった。


静かな目。


少し考えるような沈黙。


やがて。


小さい声。


「……覚えていません」


少し間。


「長く見すぎました」


笑うものが止まる。


『いや何その怖い返答』


『記憶飛ぶレベルで見てたの?』


翔が煙を吐く。


静かな目。


「何見てた」


相手の視線が遠くへ向く。


果ての見えない空間。


小さい声。


「壊れるもの」


「生まれるもの」


少し間。


「繰り返すもの」


静かな声だった。


感情は無い。


だが。


嘘も無い。


本当にそれだけを見ていたみたいだった。


セレナが。


ほんの少しだけ目を細める。


静かな声。


「……似ています」


笑うものが振り向く。


『何が?』


セレナは相手を見る。


少し間。


「長く見てきた人の目に」


小さい声。


「でも」


ほんの少しだけ首を横に振る。


「違います」


静かな瞳。


「もっと古い」


沈黙。


士郎が鼻を鳴らした。


「で?」


短く。


「何で出てきた」


相手の視線が。


崩れていく白へ向く。


初めて。


ほんの少しだけ目が細くなる。


「聞きたいのはこちらです」


静かな声。


少し間。


「何故」


崩壊する管理領域を見る。


「壊したのですか」


沈黙。


士郎が少し考える。


面倒そうだった。


そして。


小さく鼻を鳴らす。


「……知らねぇ」


短く。


「強そうなの倒してた」


少し間。


「気付いたらこうなってた」


翔が煙を吐く。


静かな声。


「巻き込まれた」


少し間。


「気付いたら終わってた」


笑うものが頭を抱える。


『いや説明雑すぎるだろ!?』


『歴史の転換点の説明じゃねぇぞ!?』


沈黙。


相手が止まる。


理解できないものを見る目だった。


長い時間。


初めて見る異常を見るように。


やがて。


小さい声。


「……壊す意思は無かった?」


士郎は崩れゆく白を一瞥する。


少し間。


面倒そうに口を開いた。


「なんだ」


短く。


「お前が作ったのか……?」


相手の視線が。


崩壊していく白へ向く。


長い沈黙。


そして。


ほんの少しだけ首を傾げた。


「……違います」


静かな声。


「私は作っていません」


笑うものが止まる。


『……は?』


相手は崩れゆく管理領域を見ていた。


小さい声。


「あれは後からです」


少し間。


「目覚めた時には」


白を見る。


「既にありました」


セレナが初めて少し目を細める。


小さい声。


「……後から?」


相手は静かに頷く。


「私は見ていただけです」


少し間。


「後から目覚めた者達が」


崩れた白へ視線を向ける。


「勝手に名前を付け」


「勝手にルールを作った」


静かな声。


「誰も私には触れませんでしたが」


沈黙。


管理文明。


観測。


修正。


回収。


絶対だったはずの仕組み。


だが。


この存在にとっては。


全て後から生まれたものだった。


士郎が少しだけ笑った。


目が細い。


「なるほど」


短く。


「じゃあ」


ゆっくり立ち上がる。


「強いんだな」


次の瞬間。


床が砕けた。


轟音。


士郎の姿が消えた。

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