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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第三章 『魔女と死神編』

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第43話 魔女たる所以

王都は地獄になっていた。


地面を突き破って現れる大量の魔獣。


悲鳴。

炎。

崩壊。


兵士たちは必死に戦っている。


だが。


止めきれない。


数が多すぎる。



その中心。


黒狼――西園寺士郎。


灰の魔女――エレノア。


二人だけが異常だった。


士郎は魔獣の群れへ突っ込む。


拳。

蹴り。

肘打ち。

人体破壊術。


魔獣たちが次々吹き飛ぶ。


巨大な魔獣の頭部を掴み、そのまま地面へ叩きつける。


轟音。


周囲の兵士たちが完全に固まっていた。


「なんだよあれ……」


「人間じゃねぇ……」


だが。


隣の魔女はもっと異常だった。



エレノアが空を見上げる。


銀髪が揺れる。


赤い瞳が細くなる。


その瞬間。


王都上空へ、巨大な灰色魔法陣が展開された。


今までとは比較にならない規模。


空そのものが魔法陣で埋まる。


兵士たちが絶句する。


「う、嘘だろ……」


「王都全域を覆ってる……!」


エレノアは静かに呟いた。


「跪きなさい」


瞬間。


空間そのものが重くなる。


魔獣たちの巨体が地面へ叩きつけられた。


重力操作。


しかも超広域。


魔獣たちは動けない。


骨が軋み、肉が潰れる。


それでも耐えようとする。


だが。


エレノアは退屈そうだった。


「しつこいわね」


指を振る。


次の瞬間。


重力がさらに増した。


轟音。


大量の魔獣がまとめて圧殺される。


血の雨。


静寂。


兵士たちはもう声も出なかった。


国家魔術師レベルじゃない。


災害そのもの。



士郎はそんなエレノアを見ていた。


強い。


純粋にそう思う。


ゼクトとは違う。


戦士じゃない。

もっと異質。


世界の法則そのものを捻じ曲げている。


その感覚に。


士郎は少し笑った。


エレノアが気づく。


「なに?」


「お前、いいな」


リゼが頭を抱える。


「この状況で口説かないで!!」


エレノアは楽しそうに笑った。


「嬉しいわ」


本気だった。


この男は。


自分を恐れない。


それが面白い。



その時。


災厄級魔獣が咆哮する。


まだ生きていた。


全身ボロボロ。


だが

異常な再生力で傷を塞いでいく。


エレノアの目が細くなる。


「古代型か」


士郎が聞く。


「強いのか」


「昔、神代戦争で使われた生物兵器よ」


兵士たちの顔色が変わる。


神代戦争。


伝説の時代。


そんな存在が、なぜ今。


エレノアは魔獣を見る。


「普通なら、とっくに滅んでるはずだけど」


その時。


災厄級魔獣の赤眼が士郎を捉えた。


空気が変わる。


本能。


恐怖。


そして。


敵意。


魔獣は理解していた。


一番危険なのは。


黒狼だと。


次の瞬間。


魔獣の全身から黒い魔力が噴き出した。


王都が揺れる。


兵士たちが絶望する。


「ま、まだ力を残してたのかよ……!」


だが

士郎は笑った。


獰猛に。


「来い」


その瞬間。


士郎の身体から漏れる黒い靄が、さらに濃くなる。


エレノアの目が細くなる。


確信していた。


この男の中に眠るもの。


それは。


ただの力じゃない。


“魔王”そのものだと。

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