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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第三章 『魔女と死神編』

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第42話 魔女と怪物

王都中央広場。


災厄級魔獣が咆哮する。


轟音。


衝撃波だけで周囲の建物が崩れ落ちた。


兵士たちは近づけない。


いや。


近づけば死ぬ。


完全に別次元の戦いだった。



黒狼――西園寺士郎。


灰の魔女――エレノア。


二人だけが、災厄級魔獣の前へ立っている。


魔獣の無数の赤眼が士郎を睨む。


本能で理解していた。


危険。


目の前の男は危険すぎる。


士郎は笑った。


「逃げるな」


次の瞬間。


士郎が踏み込む。


轟音。


拳。


災厄級魔獣の顔面へ直撃。


外殻が砕け、巨体が後退る。


だが

魔獣はまだ倒れない。


異形腕が一斉に伸びる。


士郎を串刺しにしようとする。


その時。


空間が灰色に染まった。


エレノアの魔法。


異形腕が途中で停止する。


いや。


空間ごと凍結されていた。


兵士たちが絶句する。


「空間を……止めた……?」


エレノアは退屈そうに呟く。


「うるさいのよ」


そして。


指を鳴らす。


瞬間。


異形腕が全部、捻じ切れた。


血飛沫。


魔獣が絶叫する。



だが

士郎は止まらない。


エレノアの拘束。


その一瞬を利用して、真正面から突っ込む。


拳。

蹴り。

肘打ち。

人体破壊術。


巨体へ叩き込む。


災厄級魔獣が吹き飛ぶ。


建物を貫通しながら転がった。


兵士たちは呆然としていた。


二人ともおかしい。


強さの次元が違う。



リゼはそんな士郎を見ていた。


怖い。


士郎が。


戦えば戦うほど、嬉しそうになる。


今の顔

北方戦線の時より危ない。


その時。


エレノアが士郎を見る。


黒い靄。


士郎の身体から漏れる異常な気配。


エレノアの赤い瞳が細くなる。


「やっぱり濃いわね」


士郎が振り向く。


「何がだ」


エレノアは微笑む。


「魔王因子」


沈黙。


リゼが顔をしかめる。


「魔王……因子?」


エレノアは静かに言う。


「世界を壊す資格よ」


その瞬間。


空気が変わった。


兵士たちも息を呑む。


だが

士郎は興味なさそうだった。


「知らんな」


エレノアが笑う。


「でしょうね」


その反応が面白かった。


普通なら恐怖する。


だがこの男は違う。


“世界を滅ぼせる”と言われても、何も変わらない。



その時。


災厄級魔獣が再び立ち上がる。


傷だらけ。


だが。


まだ生きている。


王都の兵士たちが絶望する。


「まだ動くのかよ……!」


エレノアは少し驚いた顔をした。


「へぇ」


士郎は笑った。


「しぶといな」


魔獣が咆哮する。


すると。


王都地下から無数の魔力反応。


地面が揺れる。


兵士たちが青ざめる。


「ま、まだいるのか!?」


次の瞬間。


地面を突き破り、大量の魔獣が現れた。


王都中が悲鳴に包まれる。


だが

士郎は笑う。


エレノアも笑う。


そして。


二人は同時に前へ出た。


その姿を見て。


兵士たちは思ってしまう。


今この王都で、一番危険なのは。


魔獣じゃない。


この二人だと。

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