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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第三章 『魔女と死神編』

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第41話 災厄級

王都中央広場。


轟音と共に地面が崩壊する。


石畳が吹き飛び、巨大な黒い影が姿を現した。


全長三十メートル級。


黒鉄のような外殻。


無数の赤い眼。


背中から生えた異形の腕。


そして。


周囲へ撒き散らされる濃密な魔力。


兵士たちの顔から血の気が消えた。


「な、なんだあれ……」


「災厄級……!」


王都全体が恐慌状態になる。


普通の魔獣じゃない。


国家崩壊級。



魔獣が咆哮した。


衝撃波。


周囲の建物が吹き飛ぶ。


兵士たちが地面へ叩きつけられる。


悲鳴。


混乱。


だが。


士郎だけは静かだった。


むしろ。


笑っている。


「いい」


エレノアが横目で見る。


「本当に楽しそうね」


「強い」


短い返答。


だが本心だった。


あの怪物

今まで戦った誰より危険。


殺されるかもしれない。


その感覚が、身体を熱くする。



次の瞬間。


災厄級魔獣が腕を振るった。


轟音。


巨大な衝撃波が街を裂く。


士郎が前へ出る。


拳。


激突。


衝撃波が砕け散る。


だが

士郎の足元の地面が陥没した。


重い。


ゼクト以上。


士郎の口元が歪む。


「最高だ」


その瞬間。


災厄級魔獣が突進する。


巨体とは思えない速度。


兵士たちが絶叫する。


「逃げろぉぉぉ!!」


だが

士郎は逃げない。


真正面から踏み込む。


轟音。


拳が魔獣の顔面へ直撃。


外殻が砕ける。


しかし。


止まらない。


魔獣の腕が士郎を吹き飛ばした。


建物へ激突。


石壁が崩壊する。


リゼが悲鳴を上げる。


「士郎!!」


煙。


次の瞬間。


瓦礫の中から士郎が立ち上がる。


口元から血。


それでも。


笑っていた。


「……いいな」


兵士たちの顔が引きつる。


完全に狂っている。



エレノアはそんな士郎を見て、小さく笑った。


「やっぱり面白い」


そして。


前へ出る。


灰色の魔法陣が空を埋め尽くした。


王都全域規模。


空気が震える。


兵士たちが絶句する。


「ま、魔法陣が……」


「数が多すぎる……!」


エレノアが静かに指を向ける。


「崩れなさい」


瞬間。


空間そのものが歪んだ。


災厄級魔獣の巨体が捻じ曲がる。


骨が軋む。


外殻が砕ける。


だが

魔獣は咆哮しながら耐えた。


エレノアの目が細くなる。


「へぇ」


今の魔法で潰れない。

それだけで異常だった。



その時。


士郎が再び突っ込む。


黒いコートが翻る。


エレノアの超魔術。


その拘束の隙を、士郎は見逃さない。


拳。


ドゴォォォォン!!!


災厄級魔獣の顔面が陥没する。


さらに。


肘打ち。

膝蹴り。

連撃。


巨体が揺れる。


兵士たちは呆然としていた。


灰の魔女が拘束し。


黒狼が殴り潰す。


最悪の連携。



魔獣が暴走する。


背中の異形腕が一斉に伸びた。


士郎とエレノアへ襲いかかる。


だが

士郎は腕を掴み、引き千切った。


血飛沫。


エレノアは空間ごと切断する。


一瞬。


災厄級魔獣が怯んだ。


その時。


士郎の身体から、黒い靄が漏れる。


今までより濃い。


エレノアの赤い瞳が細くなる。


「やっぱり……」


確信。


この男の中には、“何か”がいる。


そして。


災厄級魔獣も、本能でそれを感じ取っていた。


魔獣が初めて後退る。


恐怖していた。


黒狼を。


士郎はゆっくり笑う。


「逃げるな」


その姿を見て

王都の兵士たちは理解してしまう。


目の前にいる男は。


英雄なんかじゃない。


もっと危険な何かだと。

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