第40話 災厄共闘
王都西区。
爆炎。
悲鳴。
石畳の街が崩壊していた。
巨大な魔獣が暴れている。
全長二十メートル級。
黒い外殻。
六本腕。
赤く光る複眼。
兵士たちが吹き飛ばされていく。
「ぎゃあああ!!」
「止めろ!!」
だが
通用しない。
剣は弾かれ。
魔法も効かない。
王都の人々は絶望していた。
◇
その時。
黒いコートの男が歩いてくる。
西園寺士郎。
そして隣には。
灰の魔女エレノア。
周囲の空気が変わった。
兵士たちがざわつく。
「黒狼……!」
「灰の魔女まで……!?」
最悪の組み合わせだった。
◇
魔獣が咆哮する。
轟音。
建物が吹き飛ぶ。
だが
士郎は静かに見上げるだけ。
「でかいな」
リゼが叫ぶ。
「感想そこ!?」
エレノアは楽しそうに笑った。
「可愛い方じゃない?」
「どこがだよ!」
兵士たちは混乱していた。
この二人。
空気がおかしい。
◇
魔獣が士郎へ突撃する。
大地が揺れる。
兵士たちが絶叫する。
「危ない!!」
だが
士郎は動かない。
そして。
真正面から拳を叩き込んだ。
轟音。
魔獣の巨体が止まる。
空気が凍った。
兵士たちの顔が引きつる。
止めた。
あの巨体を。
拳で。
士郎は少し笑う。
「悪くない」
次の瞬間。
魔獣の顔面へ連打。
ドゴォォォォン!!
外殻が砕ける。
血飛沫。
魔獣が絶叫する。
◇
だが。
その背後。
空間が歪む。
さらに魔獣が現れた。
二体。
三体。
王都中が騒然となる。
兵士が青ざめる。
「ま、魔獣転移だと!?」
普通ありえない。
こんな大規模転移魔法。
その時。
エレノアが前へ出た。
銀髪が揺れる。
赤い瞳が細くなる。
「邪魔」
瞬間。
空に巨大な灰色魔法陣が展開された。
王都全域を覆う規模。
兵士たちが絶句する。
「な……」
「なんだあれ……」
エレノアが指を鳴らす。
次の瞬間。
空間そのものが捻じ曲がった。
轟音。
出現した魔獣たちの身体が圧縮される。
骨。
肉。
内臓。
全部まとめて潰れる。
血の雨。
静寂。
一瞬だった。
兵士たちは完全に固まっていた。
士郎もエレノアを見る。
強い。
ゼクト以上かもしれない。
その感覚に
士郎の口元が歪む。
◇
エレノアは振り返る。
「どう?」
士郎は即答した。
「いいな」
リゼが頭を抱える。
「なんで二人とも戦闘狂なの……」
だが。
その時。
士郎の目が細くなる。
まだいる。
殺気。
強い気配。
エレノアも気づいていた。
笑う。
「なるほど」
王都の地下。
そこから
濃い魔力が溢れ始める。
大地が揺れる。
人々が悲鳴を上げる。
エレノアは静かに呟いた。
「本命が起きるわね」
次の瞬間。
王都中央広場が爆発した。
轟音。
地面を突き破り、巨大な黒い影が現れる。
王都が震えた。
兵士たちが絶望する。
「う、うそだろ……」
それは。
今までの魔獣とは別格だった。
そして。
士郎は笑っていた。
心の底から嬉しそうに。




