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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第七章 『怪物達編』
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第二部 第202話 残された者


白い世界は、ゆっくりと終わりへ向かっていた。


管理領域を支えていた法則は失われ。


白い壁は音もなく崩れていく。


光の粒になり。


静かに消えていく。


その向こうには。


今まで閉ざされていた空間が少しずつ姿を見せ始めていた。


何もない。


ただ広い。


静かで。


古い。


長い時間だけが積もったような場所だった。


セレナは崩れていく白を見ていた。


感情をあまり表に出さない瞳。


それでも今は。


どこか遠くを見るような静けさがあった。


「本当なら」


小さく落ちた声。


「私も消えていたはずでした」


笑うものが眉をひそめる。


『……管理に回収されたって話だよな?』


セレナは小さく頷いた。


「ええ」


少し間を置く。


「世界ごと」


静かな声だった。


「何も残らないはずでした」


崩壊する白を見る。


その瞳に諦めは無い。


ただ事実だけを見ている。


「でも」


少し目を伏せる。


「気付いた時には、居ました」


理由は分からない。


何故消えなかったのか。


何故世界の外に居たのか。


本人にも分からない。


ただ。


管理側から見れば。


もう終わった存在だった。


回収済み。


観測終了。


寿命終了。


修正終了。


全て終わったはずの存在。


それなのに残った。


「だから」


静かな声が続く。


「長い間、見ていました」


漂う世界群へ目を向ける。


「壊れていく世界を」


少し間。


「壊される人を」


そして。


ほんの少しだけ。


士郎を見る。


「壊していく人を」


沈黙。


士郎は面倒そうに鼻を鳴らした。


少しだけセレナを見る。


「だから付いてきたのか?」


セレナは答える前に少し黙った。


崩れゆく白を見る。


小さく息を吐く。


「最初は」


短い沈黙。


「止めるべきだと思っていました」


笑うものが目を丸くする。


『え?』


セレナの声は変わらない。


静かなままだった。


「でも」


少しだけ目を細める。


「壊していたのは世界だけじゃなかった」


遠く。


崩壊する管理領域を見る。


「管理も」


「諦めも」


「決められた終わり方も」


少し間。


静かに続けた。


「壊していました」


沈黙。


笑うものも黙る。


士郎はただ壊していた。


だが。


壊した先に残ったものもあった。


翔が煙を吐いた。


セレナを見る。


少し間。


静かな声。


「希望になった」


短い沈黙。


「で」


少し目を細める。


「死ぬ直前の俺を連れてきたと……」


笑うものが止まる。


『……え?』


セレナはすぐには答えなかった。


崩れていく白を見る。


少し目を伏せる。


「正確には」


短い沈黙。


「虚無界です」


静かな声だった。


「死ねば管理対象になります」


白い崩壊を見る。


「だから、その前に」


小さく息を吐く。


「連れてきました」


少し間。


翔を見る。


「転移者になったのを確認してから」


小さい声。


「居場所を教えました」


翔が煙を吐く。


少し沈黙。


「無茶言う」


セレナは否定しない。


静かな声。


「……壊れそうだったからです」


笑うものが止まる。


『え?』


セレナの目が。


ほんの少しだけ士郎へ向く。


「管理を壊せると思いました」


短い沈黙。


「この人なら」


小さい声。


「でも」


少し間。


「独りでした」


白を見る。


「壊して」


「殺して」


「終わって」


静かな声。


「そのまま壊れてしまいそうでした」


翔を見る。


小さい声。


「だから」


短い沈黙。


「行ってもらいました」


ほんの少しだけ目を細める。


「相棒なら」


静かな声。


「止まるかもしれないと思って」


翔が煙を吐く。


少し沈黙。


「無茶言う」


だが。


否定はしなかった。


士郎も否定しない。


結果として。


ここに居る。


士郎は鼻を鳴らした。


「来たんだからいいだろ」


それだけだった。


数秒。


笑うものだけが固まっていた。


やがて。


盛大に顔をしかめる。


『いや待って』


短い沈黙。


『何その“相棒なら世界越えられるでしょ”理論!?』


『期待値がおかしいだろ!?』


『普通は無理なんだよ!?』


誰も答えない。


答えられない。


実際。


越えてきたのだから。


白の崩壊は、静かに続いていた。

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