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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第七章 『怪物達編』
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第二部 第201話 最初の観測者


白い檻は、静かに崩れ続けていた。


管理のために作られた空間。


世界を観測し。


修正し。


不要になれば回収する場所。


その全てが。


今は役目を失っている。


白い壁が砕ける。


光になって消える。


その度に。


向こう側の景色が少しずつ姿を見せていた。


何もない。


静かな空間。


広い。


果てが見えない。


妙に古い。


時間だけが積もったような場所だった。


士郎は崩れた先を見る。


つまらなそうに鼻を鳴らした。


「で?」


少し間。


「あそこか」


翔が煙を吐く。


白の向こうをぼんやり眺める。


低い声。


「勿体つけすぎだろ」


笑うものは露骨に嫌そうな顔をした。


『いや、行く流れ!?』


崩れ続ける管理領域を振り返る。


『普通ちょっと余韻とか無い?』


『自由一日目なんだけど!?』


士郎は歩き出していた。


「飽きた」


短く。


「終わった場所に用はねぇ」


本気だった。


壊す相手が居ない場所に興味はない。


翔も静かについていく。


煙を吐く。


「これで終わりなら」


少し間。


「報告なんかしない」


笑うものが顔をしかめる。


『いや理屈は分かるけどさぁ……』


小さく息を吐く。


『自由になった初日に次の地獄行く奴いる?』


誰も答えない。


居た。


目の前に二人。


だから余計に嫌だった。


セレナは崩れていく白を見ていた。


その瞳は静かだった。


だが。


少しだけ。


迷うような色がある。


士郎が足を止める。


面倒そうに振り返った。


「来ねぇのか」


セレナは小さく目を伏せる。


少し間。


静かな声。


「……昔」


誰に向けるでもなく。


ぽつりと落ちた。


「私の居た世界も」


白い空間を見る。


「静かに消えました」


笑うものが止まる。


士郎も。


翔も。


何も言わない。


セレナの声だけが続く。


「理由も分からないまま」


少し間。


「気付いた時には、もう何も無かった」


静かな瞳が崩れた白を見る。


かつて世界だったもの。


今は崩れているもの。


それを見ながら。


小さく続ける。


「だから」


ほんの少しだけ。


士郎を見る。


「終わる時は、見ていたいんです」


沈黙。


士郎は数秒黙った。


それから。


つまらなそうに鼻を鳴らす。


「好きにしろ」


短く。


「置いてくぞ」


優しさではない。


ただ。


止める理由も無かった。


翔が煙を吐く。


崩壊する白を見る。


静かな声。


「……分からねぇな」


少し間。


「何で残った」


セレナは小さく首を横に振った。


「分かりません」


静かな声だった。


「本当なら」


少し間。


「私も消えていたはずです」


崩れた白を見る。


遠くで壁が砕ける。


光になって消える。


それを見ながら。


小さく続ける。


「でも」


ほんの少し目を伏せる。


「居たんです」


誰にも説明できない。


本人にも。


理由は分からない。


ただ。


気付けば世界の外に居た。


管理からも。


観測からも。


記録からも。


外れた場所に。


まるで最初から存在しなかったみたいに。


そして。


それでも残った。


白の崩壊が静かに続いていた。


終わった世界。


終わろうとしている場所。


その光景を。


セレナは静かに見つめていた。

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