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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第六章『世界管理崩壊編』 
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第二部 第199話 檻の終焉


崩壊は、静かに進んでいた。


世界管理領域。


白い空間そのものに走った亀裂が。


少しずつ広がっていく。


轟音はない。


悲鳴もない。


ただ。


終わっていく。


管理のために作られた場所が。


役目を失い。


ゆっくり壊れていた。


遠くで白い壁が崩れる。


光の粒となり。


静かに消えていく。


その向こうには。


今まで見えなかった虚空が広がっていた。


境界はない。


管理もない。


ただ果てのない空間だけが続いている。


笑うものは。


その光景をしばらく黙って見ていた。


『……変な感じだ』


小さく息を吐く。


『ずっと追われてた場所がさ』


少し間。


『勝手に死んでいく』


乾いた笑いが漏れた。


『もっと嫌な終わり方すると思ってた』


本音だった。


戦って壊すと思っていた。


最後まで追われると思っていた。


だが現実は違う。


管理者が消えた瞬間。


檻の方が勝手に崩れ始めた。


セレナは崩れゆく白を静かに見つめていた。


表情は変わらない。


だが。


どこか長い夢を見終えたようだった。


「檻だったんですね」


小さい声。


白い結晶群へ目を向ける。


管理を失った世界達。


自由になった世界達。


その姿を見ながら。


静かに続ける。


「世界にとっても」


少し間。


「……ここは」


誰に言うでもなく落ちた言葉だった。


長い時間をかけて築かれた管理機構。


絶対だった秩序。


当たり前だった支配。


それが消えた今。


残ったのは世界だけだった。


士郎は興味なさそうに崩壊を眺めていた。


鼻を鳴らす。


「面倒なのが片付いただけだ」


崩れる白を見ながら。


つまらなそうに続ける。


「次は何だ」


感慨はない。


達成感もない。


壊した。


終わった。


それだけだった。


翔が煙を吐く。


静かな目で。


崩れゆく世界管理領域を見ていた。


「さてな」


少し間。


「ただ」


煙が白へ消える。


「終わり方が妙に静かだ」


笑うものが嫌そうに顔をしかめた。


『またそういう事言う!?』


肩を落とす。


『今ちょっと感動っぽい空気だったのに!』


『空気読めよ!』


士郎が鼻で笑う。


「お前が勝手に浸ってるだけだろ」


笑うものが言い返そうとして。


止まった。


遠く。


崩壊した白の向こう。


今まで閉ざされていた空間が。


ゆっくり姿を見せ始めていた。


広い。


静か。


何も無い。


なのに。


妙に古い。


管理領域とは違う。


観測者達とも違う。


世界工場とも違う。


ただ。


そこに在る。


そんな空間だった。


誰も何も言わない。


ただ。


その先があると分かった。


翔が煙を吐く。


少し間。


静かな声。


「行くか」


士郎は答えない。


当然のように歩き出す。


セレナも続く。


笑うものは一度だけ。


崩れていく白い世界を振り返った。


もう管理音声は聞こえない。


監視もない。


観測もない。


ただ静かだった。


そして。


白い檻は。


静かに終わりを迎えていた。

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