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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第六章『世界管理崩壊編』 
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第二部 第194話 管理崩壊


世界管理領域が揺れていた。


静かに。


だが確実に。


結晶群が軋む。


生まれかけた世界。


壊れかけた世界。


失敗した法則。


失われた可能性。


全てが不安定化している。


海が漏れる。


炎が滲む。


空が裂ける。


文明の断片。


命の残滓。


世界の欠片。


本来なら管理されるはずのものが。


白い空間へ溢れ出していた。


世界工場は悲鳴を上げていた。


笑うものが顔を引き攣らせる。


『いや待って』


少し間。


周囲を見る。


『めちゃくちゃになってるんだけど!?』


『工場事故どころじゃないんだけど!?』


セレナは静かに結晶群を見る。


小さい声。


「……管理が乱れています」


短く。


「守護と中枢の接続が断たれた影響です」


周囲を見る。


揺れる結晶群。


暴走する世界。


だが。


静かな声。


「ただ」


少し間。


「生成世界群そのものは維持されています」


笑うものが止まる。


『え?』


セレナが続けた。


「完全崩壊ではありません」


短く。


「管理権限が不安定になっているだけです」


「構造自体は残っています」


それは重要だった。


世界工場そのものが消えるわけではない。


今壊れているのは。


あくまで管理機能だった。


翔が煙を吐く。


静かな声。


「全部壊れたら面倒だろ」


それだけだった。


世界管理領域を潰しに来たわけではない。


邪魔な管理者を潰しに来ただけだ。


その瞬間。


中枢管理個体が動く。


無数の世界を取り込み。


さらに膨張している。


結晶群が吸い込まれる。


法則が取り込まれる。


文明が飲み込まれる。


存在そのものが重い。


近付くだけで空間が軋む。


動くだけで法則が悲鳴を上げる。


そして。


世界が落ちた。


違う。


結晶群だった。


無数。


数百。


数千。


豪雨のように降り始める。


笑うものが絶叫する。


『また世界降ってきた!?』


『攻撃雑すぎるって!!』


『管理者がやることじゃないだろ!?』


轟音。


士郎が踏み込む。


重力。


周囲の空間が沈む。


真正面。


落下してくる世界へ拳。


衝突。


空間が沈む。


法則が潰れる。


世界が砕け散る。


一つ。


二つ。


十。


百。


文明の断片が吹き飛ぶ。


海が蒸発する。


空が裂ける。


可能性が砕ける。


だが。


止まらない。


次々と降ってくる。


終わりがない。


士郎の口元が少し歪む。


「数か」


低く。


「つまんねぇな」


本気で退屈そうだった。


強いわけではない。


ただ多いだけ。


それは士郎が一番嫌う戦い方だった。


同時だった。


翔が煙を吐く。


静かな目。


巨大化した中枢を見る。


違う。


世界じゃない。


もっと奥。


支え。


流れ。


管理。


世界供給。


生成機構。


修復機構。


全部。


まだ複雑に繋がっている。


守護個体の時より深い。


中枢管理個体そのものが。


世界工場と直結していた。


少し間。


低く。


「……しつけぇな」


拳が僅かに握られる。


霧流拳。


流れを断つ拳。


構造を殺す拳。


次の瞬間。


中枢管理個体。


纏っていた世界群。


その“流れ”だけが乱れた。


音もない。


衝撃もない。


ただ。


供給だけが狂う。


落下していた世界が止まる。


吸収が止まる。


修復が遅れる。


巨大な身体が。


初めて。


大きく揺らいだ。


頭の奥へ。


乱れた声が流れ込む。


『管理機構異常』


『世界供給率低下』


『再構築失敗』


『維持効率低下』


初めてだった。


中枢管理個体が。


明確に弱体化する。


士郎が笑った。


獰猛に。


踏み込む。


轟音。


重力。


空間。


法則。


全部を巻き込みながら加速する。


真正面。


今度は。


顔面へ拳が落ちた。


轟音。


白い巨体が歪む。


世界が砕ける。


法則が裂ける。


管理権限が軋む。


そして。


中枢管理個体。


初めて。


大きく砕けた。


白い破片が飛び散る。


無数の結晶世界が震える。


世界管理領域全体が揺らぐ。


笑うものが固まる。


『……あ』


短い。


『顔割れた』


さらに間。


『管理者の顔割れた』


その瞬間。


砕けた中枢管理個体の奥から。


今まで隠されていた“核”が。


僅かに姿を見せた。

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