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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第六章『世界管理崩壊編』 
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第二部 第189話 世界工場


景色が変わっていた。


白い空間。


その先。


果てが見えない。


無数の結晶が浮かんでいる。


巨大なもの。


小さなもの。


歪なもの。


静かな球体。


崩れかけたもの。


まだ形を持たないもの。


全てが静かに漂っていた。


生まれる世界。


育つ世界。


壊れる世界。


終わる世界。


始まる世界。


無数。


まるで。


巨大な工場だった。


笑うものが止まる。


『……何これ』


少し間。


顔が引き攣る。


『いやスケールおかしくない?』


短い。


『世界こんな雑に置いていいの!?』


セレナの目が結晶群へ向く。


静かな声。


「世界管理領域です」


少し間。


「不要となった要素」


「失われた可能性」


「法則の残骸」


「不要世界」


短く。


「それらが結晶化し」


僅かな沈黙。


「世界になります」


無数の結晶が光る。


その一つ一つが世界だった。


文明。


歴史。


生命。


時間。


全てを内包したまま漂っている。


笑うものが乾いた顔になる。


『ゴミ捨て場兼工場じゃん……』


その瞬間だった。


一つの結晶が。


静かに崩れた。


音はない。


悲鳴もない。


ただ消える。


文明。


歴史。


生命。


未来。


可能性。


全てが。


何も残さず消失した。


笑うものが固まる。


『……え?』


短い。


『今、消えた?』


セレナは静かだった。


「寿命です」


小さい声。


「不要と判断された世界は」


少し間。


「消去されます」


それだけだった。


あまりにも当たり前のように。


笑うものは何も言えなかった。


セレナの視線が結晶群を流れる。


そして。


静かな声。


「生成世界には調整機構があります」


笑うものが首を傾げる。


『調整機構?』


セレナは頷いた。


「世界が逸脱し過ぎないよう管理する存在です」


短く。


「法則維持」


「修正」


「排除」


少し間。


「世界ごとに形は違います」


静かな瞳が士郎へ向く。


「あなたが転移した世界にも居たでしょう?」


沈黙。


士郎は少し考える。


そして。


鼻を鳴らした。


「あぁ」


短い。


「弱かった奴か」


笑うものが止まる。


『え?』


少し間。


顔が引き攣る。


『神様ポジ!?』


『弱かったで済ませるの!?』


セレナは否定しない。


むしろ当然のようだった。


士郎にとっては。


本当に弱かったのだから。


その奥だった。


居た。


今までとは違う。


巨大。


白い人型。


いや。


人型に見えるだけだった。


世界そのものを圧縮したような存在。


一体。


二体。


三体。


十数体。


結晶群を囲むように立っている。


存在しているだけで。


周囲の世界が安定する。


結晶の揺れが止まる。


法則が整列する。


まるで世界そのものが彼らを中心に回っているようだった。


笑うものが目を細める。


『……何か嫌な感じする』


セレナの視線が止まる。


小さい声。


「守護個体」


短く。


「世界管理領域の保全存在です」


頭の奥へ。


重い声が響いた。


『世界管理領域侵入確認』


『守護個体起動』


『世界生成保全開始』


次の瞬間だった。


守護個体が動く。


速い。


違う。


距離そのものが消えた。


一体。


士郎の目前。


白い腕が振り下ろされる。


空間。


法則。


存在。


まとめて削除しようとする暴力。


笑うものが叫ぶ。


『早っ!?』


轟音。


重力。


士郎の拳だった。


真正面。


白い腕ごと。


空間ごと。


叩き潰す。


衝撃が走る。


世界管理領域そのものが軋む。


無数の結晶が揺れる。


生まれかけた世界が震える。


守護個体。


初めて。


大きく揺れた。


だが。


崩れない。


消えない。


砕けない。


士郎の目が少し細くなる。


今までの敵とは違う。


確かな手応えがあった。


「……へぇ」


短い。


「少しはマシか」


守護個体が再び動く。


周囲の守護個体も動き始める。


世界管理領域全体が迎撃体勢へ移行する。


同時だった。


翔が煙を吐く。


静かな目。


守護個体を見ていない。


もっと奥。


世界。


法則。


観測。


生成。


管理。


全てが複雑に繋がっている。


一本ではない。


十本でもない。


数え切れないほどの接続。


管理網。


世界そのものを支える巨大な構造。


翔が少し眉を動かす。


珍しく。


面倒そうだった。


「……繋がりすぎだろ」


拳が僅かに握られる。


その瞬間。


世界管理領域の空気が変わった。


結晶が震える。


法則が軋む。


観測が乱れる。


まるで。


巨大な機械の中心部へ異物が入り込んだような。


嫌な音が。


世界全体に響いた。

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