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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第六章『世界管理崩壊編』 
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第二部 第184話 中心防衛


白い影達が動いた。


その瞬間。


世界が変わる。


違う。


“世界”という概念そのものが書き換わった。


音が消える。


距離が消える。


重力が消える。


時間が消える。


死が消える。


因果が消える。


戦いを成立させる全てが、静かに削除されていく。


白い戦場が崩れていった。


法則ではない。


法則を決める側が動いている。


笑うものの顔が固まった。


『……え』


少し間。


白を見る。


『待って』


短い。


『ルールそのもの消してない?』


セレナの瞳が初めて揺れた。


「中心防衛個体……」


小さな声。


「一体で世界を処分できます」


白い影達を見る。


「法則そのものを書き換える存在です」


短く。


「執行者とは格が違います」


頭の奥へ。


重い声が響いた。


今までの観測とは違う。


判断ですらない。


決定だった。


『怪物群定義』


『削除対象』


『生存不許可』


次の瞬間。


士郎と翔の周囲から。


“存在できる”という前提が消えた。


空間が崩れる。


立つという行為。


歩くという行為。


呼吸するという行為。


生きるという行為。


全てが否定される。


世界そのものが二人を拒絶していた。


笑うものが後退る。


『いやいやいや!!』


『これ無理だろ!?』


『存在禁止とかどうしろって——』


言葉が途切れる。


白い空間がさらに沈んだ。


中心防衛個体達が一斉に手を上げる。


世界が従う。


無数の法則が書き換わる。


重力は上へ流れ。


時間は逆流し。


空間は閉じ。


因果は固定される。


怪物を殺すためだけの世界。


それが瞬時に構築された。


セレナの顔が僅かに強張る。


「まずい……」


白を見る。


「本気です」


だが。


士郎は動じない。


鼻を鳴らす。


目が細い。


「で?」


踏み込んだ。


轟音。


重力が落ちる。


否定された法則ごと。


書き換えられた世界ごと。


真正面から押し潰した。


黒が広がる。


侵食が走る。


白い法則が悲鳴を上げる。


中心防衛個体の周囲で、世界そのものが軋んだ。


初めて。


白い影達が揺れる。


『構造異常』


『侵食確認』


『再定義開始』


『削除優先度最大』


だが。


同時だった。


翔が煙を吐く。


静かな目。


白い影達を見ていない。


もっと奥。


もっと深い場所。


一本。


二本。


十数。


無数。


中心防衛個体を操る線。


命令。


観測。


判断。


執行。


全ての根元。


“執行意思”。


翔はそれを見ていた。


静かな声。


「居るな」


右手が少し動く。


次の瞬間。


世界が止まった。


中心防衛個体。


十数体。


同時に沈黙する。


法則が乱れる。


削除が止まる。


観測が途切れる。


敵意が死ぬ。


まるで操り糸を切られた人形だった。


笑うものが固まる。


『……え?』


少し間。


顔が引き攣る。


『中心防衛だよね?』


『何で止まってんの?』


『今何殺したの!?』


セレナも言葉を失う。


中心防衛個体が止まるなど。


外界側の記録に存在しない。


士郎が少し笑った。


目が細い。


獣のような笑み。


「終わりか?」


踏み込む。


轟音。


重力が落ちる。


白い世界ごと。


中心防衛個体ごと。


まとめて沈んだ。

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