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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』第六章『世界管理崩壊編』 
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第二部 第182話 殲滅


外界側は止まらなかった。


白い空間の奥から、観測外者が現れる。執行者が現れる。法則を纏った異形が、次々と戦域へ流れ込んでくる。


数ではない。


密度だった。


一体一体が世界単位の圧を持ち、存在しているだけで空間の意味を塗り替えていく。上下。距離。時間。観測。その全てが重なり合い、士郎と翔を中心に白い戦場が構築されていった。


法則が降る。


拘束。


修正。


停止。


削除。


距離が歪み、観測が重なり、世界そのものが二人を押し潰そうとする。


笑うものが、初めて本気で顔を引き攣らせた。


『いや待って』


白を見る。


『これもう戦争じゃなくて終末なんだけど!?』


セレナの声は静かだった。


「外界側は本気です」


少しだけ間を置き、彼女は白い戦場を見据えた。


「文明防衛」


短く。


「総力迎撃です」


だが。


士郎と翔は止まらない。


士郎が踏み込んだ。


その瞬間、重力が落ちた。


轟音。


白い空間そのものが沈む。


押し寄せていた法則が、拘束が、修正が、停止が、削除が、真正面から圧し潰された。白い戦域に黒が走り、重力と侵食が混ざり合いながら、戦場そのものを塗り潰していく。


空間が軋む。


距離が崩れる。


観測外者達の隊列が、初めて乱れた。


頭の奥へ、無数の声が流れ込む。


『侵食拡大』


『構造維持困難』


『戦域崩壊警告』


『怪物群危険度更新』


士郎が、少しだけ笑った。


低く。


「脆ぇな」


同時に、翔が煙を吐いた。


その目は、迫る群れを見ていなかった。


違う。


敵ではない。


もっと奥。


繋がっているものを見ていた。


命令。観測。意思。判断。外界側の防衛機構を動かしている、無数の線。


翔はそれを見つけた。


「居るな」


静かな声。


右手が、ほんの少し動いた。


次の瞬間。


戦場が静まった。


白い群れの前列が崩れる。


中列が崩れる。


さらに後方まで、遅れて崩れた。


悲鳴もない。


抵抗もない。


敵意が消える。観測が死ぬ。法則が止まる。


まるで戦場そのものから、命だけを抜き取られたようだった。


笑うものが固まる。


『……え?』


少し間。


顔がさらに引き攣る。


『何今』


短く。


『雑に死にすぎじゃない!?』


翔は答えない。


ただ煙を吐き、崩れていく群れの奥を見る。


士郎も前を見ていた。


まだ数はいる。


まだ圧は残っている。


まだ外界側は諦めていない。


士郎が、わずかに笑う。


「終わってねぇだろ」


踏み込む。


轟音。


重力がさらに落ちた。


白い空間が黒く沈む。


外界側が、初めて後退した。

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