表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二章 『血塗れの傭兵編』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/746

第37話 血刃、散る

翌日。


ヴァルガ砦。


空気は異様だった。


魔族軍補給基地壊滅。


それは戦況を大きく変えていた。


魔族軍は補給不足で動きが鈍り始めている。


対して人類軍の士気は上がっていた。


理由は一つ。


黒狼。


西園寺士郎。


たった一人の存在。


兵士たちは口々に噂する。


「黒狼が敵基地を潰したらしい……」


「しかも単独だぞ」


「本当に人間か……?」


恐怖と熱狂。


両方が混ざっていた。


だが

士郎本人は静かだった。


砦外壁に座り、遠くの魔族軍陣地を見ている。


その目は獲物を探す獣みたいだった。



その時。


戦場へ角笛が響く。


魔族軍。


総進軍。


兵士たちが慌てる。


「敵軍接近!!」


「総員戦闘配置!!」


アレスが剣を抜く。


「来たか……!」


だが

何かがおかしい。


魔族軍の中央。


道が開いていく。


そして。


一人の男が前へ出た。


血刃のゼクト。


赤黒い鎧は砕けている。


全身傷だらけ。


それでも。


笑っていた。


ゼクトは魔剣を肩へ担ぎ、叫ぶ。


「黒狼ォォォォ!!」


戦場全体へ響く咆哮。


兵士たちが震える。


士郎はゆっくり立ち上がった。


そして。


笑う。


「来たか」


次の瞬間。


士郎が城壁から飛び降りた。


轟音。


ゼクトも地面を蹴る。


二人の怪物が、戦場中央で激突した。



拳。


魔剣。


衝撃波。


大地が裂ける。


兵士たちは近づけない。


いや。


近づけば死ぬ。


ゼクトが笑う。


「今日で決着だ!!」


士郎の拳が顔面へ突き刺さる。


ゼクトが吹き飛ぶ。


だが。


空中で体勢を変え、黒刃を放つ。


士郎は拳で粉砕。


そのまま踏み込む。


轟音。


ゼクトの腹へ膝蹴り。


肋骨が砕ける。


血飛沫。


それでも。


ゼクトは笑っていた。


「素晴らしい!!」


完全に狂っている。


だが

士郎も同じだった。


強い。


死ねるかもしれない。


その感覚だけが、今の士郎を熱くしていた。



戦場後方。


リゼは震えていた。


士郎の顔。


笑っている。


楽しそうに。


まるで。


殺し合いの中だけが、生きている実感を与えてくれるみたいに。


アレスが低く呟く。


「危険だな……」


「ゼクトが?」


グランが聞く。


アレスは首を振る。


「士郎の方だ」


グランは黙った。


否定できなかった。



戦場中央。


ゼクトの魔力が爆発する。


赤黒い紋様。


全身強化。


周囲の地面が崩れる。


ゼクトは吠えた。


「来い、黒狼!!」


士郎も踏み込む。


轟音。


拳が激突。


ゼクトの魔剣が士郎の肩を裂く。


士郎の拳がゼクトの胸を砕く。


血。

骨。

破壊。


怪物同士の殴り合い。


そして。


士郎の全身から、黒い靄が漏れ始める。


今までより濃い。


ゼクトの目が見開かれる。


「やはりだ……!」


士郎は構わず拳を振るう。


ドゴォォォォン!!!


ゼクトの身体が地面へ叩きつけられる。


大地が陥没。


ゼクトは血を吐きながら笑った。


「……はは」


立ち上がる。


だが

脚が震えていた。


限界。


それでもゼクトは笑う。


「最高だったぞ、黒狼」


士郎は静かに見る。


ゼクトが魔剣を構える。


最後の一撃。


全魔力収束。


空が黒く染まる。


兵士たちが絶望する。


だが

士郎は前へ出た。


拳を握る。


ゼクトが叫ぶ。


「死ねェェェェェ!!」


黒滅崩刃。


最大出力。


超広域殲滅斬撃。


士郎が真正面から突っ込む。


轟音。


黒刃を拳で砕く。


突破。


そして。


ゼクトの眼前へ。


士郎が拳を叩き込んだ。


ドゴォォォォォォォン!!!


世界が揺れた。


ゼクトの胸部が陥没する。


血が噴き出す。


静寂。


ゼクトは数歩よろめいた。


そして。


笑う。


満足そうに。


「……見事だ」


赤い瞳が細くなる。


「貴様こそ……戦場最強だ」


次の瞬間。


ゼクトの身体が崩れ落ちた。


沈黙。


魔族軍幹部。


血刃のゼクト。


死亡。


戦場が静まり返る。


そして。


誰もが見ていた。


血まみれで立つ男。


黒狼。


西園寺士郎を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ