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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二章 『血塗れの傭兵編』

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第33話 黒狼無双

ヴァルガ砦右翼。


戦線は崩壊寸前だった。


魔族軍が雪崩れ込む。


大型魔獣が城門を叩き壊す。


兵士たちは疲弊しきっていた。


「押される!!」


「もう無理だ!!」


絶望。


誰もがそう思った。


その時。


黒い影が戦場へ飛び込んだ。


西園寺士郎。


黒狼。



士郎は魔族軍の中央へ着地した。


轟音。


地面が陥没する。


魔族たちが一瞬動きを止めた。


本能。


危険。


目の前にいる男は危険だと理解してしまう。


士郎は静かに言う。


「数だけか」


次の瞬間。


地面を蹴った。


爆発音。


士郎が消える。


そして。


魔族兵の頭部が潰れた。


ドゴォォォン!!


さらに拳。

蹴り。

肘打ち。


魔族たちが次々吹き飛ぶ。


人体破壊術。


それを戦場規模で叩き込んでいた。


兵士たちは呆然と見ている。


速すぎる。


強すぎる。


一人で戦場そのものを押し返していた。



大型魔獣オーガロード級。


三体。


同時突撃。


兵士たちが絶望する。


だが

士郎は止まらない。


一体目。

拳。

顔面粉砕。


二体目。

首を掴み、そのまま地面へ叩きつける。

轟音。

頭蓋骨陥没。


三体目。

巨大斧を振り下ろす。

士郎は避けない。


真正面から拳を叩き込む。


激突。


斧が砕けた。


そのまま

オーガロード級の胸部を貫通する。


静寂。


兵士たちの顔が引きつる。


「なんだよ……あれ……」


もはや人間じゃない。


災害。



戦場中央。


ゼクトはその光景を見て笑っていた。


「素晴らしい!!」


周囲の魔族軍ですら恐怖している。


黒狼。


一人いるだけで戦場が変わる。


ゼクトは楽しそうに呟く。


「やはり貴様は、戦場の怪物だ」



右翼戦線。


士郎は血まみれで歩いていた。


周囲には魔族の死体。


数十。


いや。


既に百を超えていた。


だが

まだ足りない。


もっと強い敵を。


もっと死を感じる戦いを。


身体の奥が飢えている。


その時。


空が暗くなる。


ワイバーン部隊。


十体以上。


兵士たちが絶叫する。


「飛行部隊だぁぁぁ!!」


炎の雨。


砦が燃える。


兵士たちが吹き飛ぶ。


だが

士郎は笑った。


「いい」


地面を蹴る。


轟音。


跳躍。


兵士たちが目を見開く。


士郎が空へ飛ぶ。


常識外れ。


ワイバーンへ到達。


拳。

頭部粉砕。


その死体を踏み台にさらに跳躍。


二体目。

翼を引き千切る。


三体目。

首を掴み、地面へ叩き落とす。


轟音。


兵士たちはもう声も出ない。


空中で。


飛竜を。


素手で虐殺している。



その頃。


砦内部。


リゼは負傷兵を治療しながら震えていた。


周囲の兵士たちの会話が聞こえる。


「黒狼が右翼を押し返してる!」


「ワイバーン部隊壊滅!」


「一人で戦況変えてやがる!!」


歓声。


熱狂。


だが

リゼだけは笑えなかった。


士郎はどんどん壊れている。


戦えば戦うほど

嬉しそうになる。


それが怖かった。



戦場。


最後のワイバーンを叩き潰し、士郎が着地する。


轟音。


その時。


周囲の魔族軍が、一斉に後退った。


恐怖していた。


黒狼を。


士郎は静かに見る。


「もう終わりか?」


魔族たちは震える。


その姿を見て

士郎は少しだけ失望した。


弱い。


足りない。


もっと。


もっと死に近い戦いが欲しい。


その瞬間。


遠くから濃密な殺気。


士郎の目が細くなる。


ゼクト。


再びこちらへ向かってきていた。


そして。


ゼクトの背後。


さらに二つ。


異常な気配が現れる。


魔族軍幹部。


増援だった。

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