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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第84話 一歩


「ダセぇぞ」



士郎の声だけが。


広場へ沈んだ。



鎧の男が止まる。



剣が震えていた。



怖い。



ただ。



怖い。



士郎が少し笑う。



冷たい目。



「言い返せなくなったら」



少し間。



「武器か?」


静かな声。



「安いな」



鎧の男が歯を食いしばる。



怒り。



屈辱。



恐怖。



全部が混ざっていた。



「き、貴様……!!」



士郎が鼻で笑う。



「俺じゃねぇだろ」


静かな声。



顎で示す。



若い男。



「喧嘩相手」



風が少し吹く。



若い男が止まる。



怖い。



でも。



逃げない。



士郎を見る。



翔を見る。



そして。



前を見る。



鎧の男が剣を握る。



殺意。



威圧。



強い。



足が少し震えた。



翔が煙を吐く。



静かな目。



男を見る。



「怖いか」



少し間。



「当たり前だ」


静かな声。



「でも」



煙が揺れる。



「逃げたら終わり」



男が少し息を呑む。



笑う者が止まる。



『お前今日ちょっと先輩感あるな!?』



翔は無視。



煙を吐く。



若い男が深く息を吸う。



震える拳。



それでも。



前を見る。



そして。



鎧の男へ。



静かな声。



「剣抜いて」



少し間。



少しだけ怒った目。



「民守れるのか?」



鎧の男が止まる。



男が続ける。



震えている。



でも。



止まらない。



「怖がらせて」



「奪って」



「黙らせて」



少し間。



民を見る。



「それで王気取りかよ」



風が止まった。



民達が少しずつ顔を上げる。



誰かが。



小さく頷いた。



士郎が少し笑う。



獰猛じゃない。



試す目。



「……一歩だな」

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