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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二章 『血塗れの傭兵編』

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第27話 夜襲

北方戦線。


戦いは終わらない。


ゼクト撃退から三日後。


人類軍は辛うじて防衛線を維持していた。


だが。


空気は重い。


兵士たちは理解している。


魔族軍は、また来る。


しかも次は。


もっと激しく。



夜。


要塞都市グランゼル。


兵士たちが見張りを続ける中、士郎は城壁の上に立っていた。


風が冷たい。


遠くには魔族軍陣地の灯火。


士郎は静かに見つめる。


リゼが後ろから来る。


「また外見てる」


「ああ」


「眠らないの?」


「必要ない」


リゼが呆れ顔になる。


だが。


士郎の目は戦場だけを見ていた。


静かすぎる。

嫌な空気。


その時だった。


士郎の目が細くなる。


「来る」


「え?」


次の瞬間。


轟音。


要塞外壁が爆発した。


悲鳴。


警鐘。


兵士たちが叫ぶ。


「敵襲!!」


「魔族軍だぁぁぁ!!」


リゼの顔が青ざめる。


「うそ……夜襲!?」


城壁の外。


闇の中から、無数の魔族兵が現れる。


さらに。

大型魔獣まで混ざっていた。


完全奇襲。


兵士たちは混乱する。


「は、早すぎる!!」


「迎撃準備が――」


その時。


士郎はもう動いていた。


黒いコートが翻る。


城壁から飛び降りる。


轟音。


リゼが叫ぶ。


「待って!!」


だが士郎は止まらない。


戦場へ突っ込む。



要塞正門。


魔族軍が雪崩れ込んでくる。


兵士たちは押されていた。


数が多すぎる。


その時。


先頭の魔族兵の頭が潰れた。


轟音。


血飛沫。


黒いコートの男。


士郎。


魔族兵たちが怯む。


「……黒狼」


噂は魔族側にも広がっていた。


ゼクトと渡り合った人間。


戦場の怪物。


士郎は静かに言う。


「雑魚が多いな」


魔族兵たちが怒号を上げる。


一斉突撃。


だが。


士郎は止まらない。


拳。

蹴り。

肘。


人体破壊術。

それを魔族へ叩き込む。


顔面が潰れる。

骨が砕ける。

胴体が吹き飛ぶ。


魔族兵たちが次々倒れていく。


戦場がざわつく。


「あれが黒狼か……!」


「一人で押し返してるぞ!」


士郎は笑っていた。


戦場の真ん中で。


血を浴びながら。



その時だった。


空から影が落ちる。


巨大。


翼。


兵士たちが絶叫する。


「ワイバーン!!」


飛行型魔獣。

しかも三体。


要塞上空から炎を吐く。


建物が燃える。


悲鳴が響く。


リゼの顔が青ざめる。


「まずい!!」


兵士たちは対空準備が間に合わない。


だが。

士郎は地面を蹴った。


轟音。


跳躍。


兵士たちの目が見開かれる。


「は……?」


士郎は空中へ飛んでいた。


常識外れの脚力。


そのまま。

ワイバーンの顔面へ拳を叩き込む。


ドゴォォォォン!!


頭部粉砕。


巨体が墜落する。


地面が揺れる。


残る二体が咆哮。


炎を吐く。


士郎は空中でワイバーンの死体を蹴り、さらに跳ぶ。


兵士たちはもう声も出ない。


士郎が二体目へ到達する。


肘打ち。

首が折れる。


最後の一体は逃げようとした。


だが遅い。


士郎が翼を掴む。


そのまま

地面へ叩き落とした。


轟音。


ワイバーンが潰れる。


静寂。


兵士たちは完全に固まっていた。


飛竜を。


素手で。


しかも空中戦で。


アレスが呟く。


「馬鹿げてる……」



夜襲は崩れ始めていた。


黒狼が一人いるだけで、戦線が変わる。


魔族兵たちの顔に恐怖が浮かぶ。


「退け!!」


「黒狼がいる!!」


士郎は血を払う。


その時。


遠く。


戦場奥。


濃い殺気。


士郎の目が細くなる。


知っている気配。


血刃のゼクト。


闇の向こうで

魔族軍幹部が、静かにこちらを見ていた。


そして。


笑った。

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