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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二章 『血塗れの傭兵編』

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第24話 戦場の悪魔

轟音。


戦場中央で、士郎とゼクトが激突する。


拳。

魔剣。

衝撃波。


周囲の兵士たちは近づけない。


いや。


近づいた者から死ぬ。


人類軍も魔族軍も、戦いの手を止めていた。


視線は一点。


黒狼と血刃。


二体の怪物へ。



ゼクトの魔剣が唸る。


連続斬撃。


空間ごと裂くような黒刃。


士郎は避ける。


紙一重。


そして。


踏み込む。


拳。


ドゴォォォン!!


ゼクトの脇腹へ直撃。


鎧が砕ける。


だが。

ゼクトは笑った。


「素晴らしい!!」


魔剣を振り抜く。


士郎の肩が裂ける。


血飛沫。


普通なら腕ごと飛ぶ斬撃。


それでも士郎は止まらない。


肘打ち。

膝蹴り。


人体破壊術。

それを、魔族軍幹部へ叩き込む。


ゼクトの口から血が漏れる。


だが。

笑みは消えない。


完全に戦いを楽しんでいた。



戦場後方。


アレスは険しい顔で戦いを見ていた。


「……異常だ」


グランが苦笑する。


「今さらか」


違う。

強さだけじゃない。


士郎は戦場へ適応しすぎている。


死体。

悲鳴。

血の匂い。


普通の人間なら狂う環境。


なのに。


あの男は、むしろ生き生きとしている。


まるで。


戦場こそ本来いるべき場所みたいに。


リゼは唇を噛む。


士郎の顔。

笑っていた。

楽しそうに。

その表情が少し怖かった。



ゼクトが後退する。


鎧は砕け、全身血まみれ。


それでも立っている。


魔族軍幹部。


化け物。


だが。


目の前の人間は、もっと異常だった。


ゼクトが低く笑う。


「人間でここまで来たか」


士郎は血を拭う。


「まだやれるだろ」


「当然だ」


ゼクトの魔力が膨れ上がる。


空が黒く染まる。


魔族軍が歓声を上げた。


「ゼクト様!!」


「殺せぇぇぇ!!」


ゼクトが魔剣を掲げる。


「見せてやる」


黒い魔力が収束する。


巨大。


重い。


戦場そのものが震えていた。


アレスの顔色が変わる。


「全軍下がれ!!」


兵士たちが慌てて後退する。


次の瞬間。


ゼクトが振り下ろした。


黒滅斬。


巨大な黒刃が大地を切り裂く。


城壁級の破壊。


直撃すれば消し飛ぶ。


だが。


士郎は避けなかった。


真正面。


拳を握る。


そして。


殴った。


轟音。


黒刃が砕け散る。


衝撃波で戦場が吹き飛ぶ。


兵士たちが絶句した。


「は……?」


「魔法を……拳で……?」


ありえない。


ゼクトの最大級魔術。


それを。


魔力なしで破壊した。


士郎は静かに歩く。


黒いコートが揺れる。


血まみれ。


それでも。


止まらない。


ゼクトの目が細くなる。


初めて。

本能的な危機感が走っていた。


士郎が踏み込む。


速い。

今までよりさらに。


拳。


ドゴォォォォン!!


ゼクトの顔面が歪む。


そのまま地面へ叩きつけられる。


大地が陥没した。


魔族軍が静まり返る。


ゼクトが。


押されている。


士郎は見下ろす。


「終わりか?」


ゼクトは血を吐きながら笑った。


「……いい」


魔剣を支えに立ち上がる。


赤い瞳が士郎を捉える。


「本当に気に入った」


殺気が膨れ上がる。


周囲の魔族兵たちが震え始める。


ゼクトはまだ本気じゃなかった。


アレスが低く呟く。


「まだ上があるのか……」


ゼクトの身体から、黒い魔力が噴き出す。


鎧が砕ける。


肌へ赤黒い紋様が浮かぶ。


変貌。


魔族本来の力。


兵士たちが青ざめる。


「な、なんだあれ……!」


ゼクトが笑う。


「次で殺す」


士郎も笑った。


獰猛に。


「やってみろ」


その瞬間。


士郎の背後で、黒い靄が微かに揺れた。

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