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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第1章 『黒衣の転生者編』

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第15話 オーガロード

オーガロードが現れた瞬間。

空気が変わった。


重い。


息苦しい。


ただ立っているだけで、周囲へ圧を撒き散らしている。


兵士たちが後退る。


「う、うそだろ……」


「なんでA級危険種がこんな場所に……!」


リゼの顔も青い。


普通のオーガとは格が違う。


三メートルを超える巨体。

黒い皮膚。

巨大な戦斧。


そして。

知性を感じる眼。


オーガロードは周囲の死体を見下ろす。


仲間のオーガたち。

全滅。


その赤い瞳が、ゆっくり士郎へ向く。

沈黙。


次の瞬間。

凄まじい殺気が爆発した。


兵士たちが震える。


「ぐっ……!」


レオンが剣を抜く。


「下がれ!!」


だが。

士郎だけは動かなかった。


むしろ。

ほんの少し笑っている。


「いい殺気だ」


オーガロードが低く唸る。


「……ニンゲン」


言葉。


リゼが息を呑む。


「しゃ、喋った……!」


オーガロードは戦斧を持ち上げる。


「オマエ……ツヨイ」


士郎は答える。


「ああ」


「……コロス」


瞬間。


地面が爆ぜた。


オーガロードが突進。


速い。


巨体からは考えられない速度。


戦斧が振り下ろされる。


轟音。


北門前の石畳が吹き飛んだ。


だが。


当たらない。


士郎は半歩だけ動いて避けていた。


レオンの目が見開かれる。


「速ぇ……!」


士郎が懐へ潜り込む。


拳。


ドゴォォォン!!


オーガロードの腹へ直撃。


衝撃波。


巨体がわずかに揺れる。


だが。


倒れない。


士郎の目が細くなる。


「硬いな」


オーガロードが笑った。


獰猛に。


そして拳を振るう。


轟音。


士郎の身体が吹き飛んだ。


家屋へ激突。

壁が砕ける。


リゼが叫ぶ。


「士郎!!」


兵士たちが青ざめる。


今のは直撃だった。

普通なら肉片。


だが。

瓦礫の中から士郎が立ち上がる。


口元から血。


だが。

笑っていた。


「最高だ」


レオンが頭を抱える。


「なんで嬉しそうなんだよ……!」


士郎は肩を回す。

骨は折れていない。


久しぶりだった。

ここまで重い一撃を受けたのは。


オーガロードも理解する。

目の前の男は異常だと。


士郎が歩く。


一歩。


また一歩。


空気が変わる。


兵士たちが息を呑む。


まただ。

この男、本気になるほど圧が増す。

まるで別の生き物になるみたいに。


オーガロードが咆哮した。


戦斧を振るう。

連撃。

建物が吹き飛ぶ。

地面が割れる。


だが士郎は全部避ける。


最小動作。


紙一重。


そして。


踏み込む。


肘打ち。

オーガロードの顔が揺れる。

続けて膝蹴り。


巨体が僅かに浮いた。


士郎の拳が連続で叩き込まれる。


ドゴン!!

バゴォン!!

ゴォォォン!!


轟音。


オーガロードが後退する。


兵士たちが絶句する。


A級危険種を。

人間が。

素手で押している。


オーガロードが怒り狂う。


魔力が膨れ上がった。

黒いオーラ。

地面が軋む。


レオンが叫ぶ。


「まずい!!」


次の瞬間。

戦斧が振り下ろされる。


今までとは別格。

空気そのものを叩き潰す一撃。


士郎は避けない。


真正面から拳を振るう。


激突。


世界が揺れた。


轟音。


衝撃波で周囲の窓ガラスが砕け散る。


そして。


戦斧が砕けた。


沈黙。


オーガロードの目が見開かれる。


兵士たちも固まった。


士郎は拳を握ったまま立っている。


血が流れていた。


だが。

その目は獣みたいに笑っている。


「終わりか?」


オーガロードが初めて後退った。


恐怖。


王が。


人間へ。


士郎はゆっくり近づく。


そして。


「なら死ね」


拳を振るった。


轟音。


オーガロードの巨体が吹き飛ぶ。


城壁へ激突。


壁が崩れる。


煙。


静寂。


やがて。

巨大な身体が崩れ落ちた。


動かない。


A級危険種。


オーガロード。


討伐。


北門前が沈黙に包まれる。


誰も声を出せない。


士郎は血を払う。


その時。

兵士の一人が、震える声で呟いた。


「……黒狼」


その異名は。


ついに王国騎士団にまで広がった。

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