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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第1章 『黒衣の転生者編』

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第11話 熊殺し

森の奥。


四体のブラッドベアが並んでいた。


巨大。


異様な圧迫感。


赤い瞳が士郎たちを見下ろしている。


普通なら絶望する光景だった。


A級危険種。

それが群れを作るなど、ありえない。


リゼは完全に顔が青かった。


「む、無理だよこんなの……!」


レオンも剣を握り直す。

冷や汗。

一体でも危険。

四体など、自殺行為だ。


だが。


士郎だけは違った。

黒いコートを揺らしながら、静かに前へ出る。


「下がってろ」


レオンが眉をひそめる。


「おい、まさか一人で――」


「邪魔だ」


即答だった。


レオンが苦笑する。

本当にこの男は変わらない。


ブラッドベアたちが低く唸る。


そして。

同時に動いた。


轟音。


森が揺れる。

四方向からの突進。

逃げ場はない。


だが士郎は避けなかった。


真正面。

最初の一体へ踏み込む。


拳。


ドゴォォォン!!


顔面陥没。


巨体が吹き飛ぶ。


そのまま横から来た二体目の爪を掴む。

筋肉が軋む。

ブラッドベアの動きが止まった。


リゼが目を見開く。


「止めた……!?」


士郎はそのまま腕を捻る。


骨が砕ける音。


絶叫。


さらに肩を掴み――。


投げた。


五メートル超の怪物が宙を舞う。

別のブラッドベアへ激突。

二体まとめて転がった。


レオンが呆然と呟く。


「馬鹿かよ……」


残る一体が背後から襲いかかる。


爪。


轟音。


だが士郎は振り向きもしない。


半歩だけずれる。

爪が空を切る。

その瞬間。


裏拳。


ブラッドベアの首が捻じ曲がった。

巨体が横転する。


森が揺れる。


静寂。


数秒。


四体のブラッドベアが地面へ倒れていた。


まだ息はある。

だが立てない。


圧倒。


完全な実力差。


士郎はゆっくり歩く。

倒れた一体の前へ。


ブラッドベアが震えていた。


恐怖。


目の前の存在を、本能で理解してしまった。


怪物。


自分より上位の捕食者。


士郎は熊の頭を掴む。


そして。


握り潰した。


血飛沫。

骨が砕ける音。


リゼが顔を引きつらせる。


「うわぁ……」


残る三体が立ち上がろうとする。


だが士郎は止まらない。


蹴り。

胸骨粉砕。

肘打ち。

顎破壊。


最後の一体は逃げようとした。


しかし。


士郎が首を掴み、地面へ叩きつける。


轟音。


森が揺れる。


ブラッドベアは動かなくなった。


終わり。


A級危険種四体。


全滅。


沈黙。


風だけが吹いていた。


リゼもレオンも、しばらく動けない。

理解が追いつかない。

普通の冒険者なら、遭遇した時点で逃げる怪物。


それを。


一人で。


素手で。


士郎は血を払う。


「弱かったな」


レオンが額を押さえる。


「基準がおかしいんだよお前は……」


その時だった。


森の奥から、微かな魔力反応。

士郎の目が細くなる。


「まだいるな」


レオンも気づいた。


だが、ブラッドベアじゃない。


もっと嫌な気配。


冷たい。

禍々しい。


森の奥。

暗闇の中で。

“何か”がこちらを見ていた。


リゼが震える。


「……なに、あれ」


士郎は静かに笑った。


ほんの少し。


「やっと本命か」

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