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空白記号~機械仕掛けの女神と幻想世界~  作者: 凉月
幸福な街と機械仕掛けの女王
22/43

5-7

 ズゥン、と腹の底に響く音がした。

内臓を根こそぎ揺らし、鼓膜をむしり取ろうとするほど音量が一息に押し寄せて来たせいで、真広の耳は瞬時に麻痺し、耳の奥が痺れてかゆくなる。

 閉じているはずの目には、眩い火柱が一本、横一文字によぎる。その様は、資料映像で見た、核爆発の様だった。世界がオレンジに輝き、次に真っ白になって、暗闇になれていた真広の視界は、白く塗りつぶされて役に立たなくなる。

 おまけとばかりに、それらから一瞬だけ遅れて、体の表面が溶けてしまうのではないかと言うほどの、熱風が襲ってきた。開いていた口の中に熱風が入り込んで、思わず手で口を覆う。

もしかしたら、本当に核爆発が起こったのだろうか。勿論、核爆発のただ中に板ことなど無いが、きっと、こんな感じなのだろう。幸いにして耳には、聞こえなくなった、という以外の不調はないが、リーシャが気圧の差を心配していたのも納得できる。

 そのまま、どれほどの時間が経ったのだろうか。随分と長く感じられた爆発の時間は、現実では一秒にも満たなかったのだろう。しかし、真広たちはそのほんの短い時間のうちに、聴力と視力の両方を奪われて、丸腰の状態で何もない世界の放り出されてしまった。

爆風が収まって体の自由が効くようになったところで、不安に駆られた真広の手は、空中に彷徨いだしていた。ほんの一秒かそこらの間に他の全員とはぐれてしまうなどということはあり得ないが、何も見えず、何も聞こえないという状態は、激しく真広の不安をかきたてた。

「÷ΕΩΙ⇔д」

 自然と口が開き誰かの名前を呼んだ気がするが、耳が聞こえないので自分が誰の名前を呼んでいるのかもよくわからない。

 そんな状態の、まだ爆発で焙られた熱を残す真広の腕を、誰かの手がつかんだ。そして、真広と同じように空中を彷徨っていた誰かの手のところまで導くと、手と手を繋がせる。間違いなく、今自分の手を導いた手はリーシャだ。感触だけでなんとなくそう判断した真広だが、それだけで乱れていた心が落ち着くのを感じだ。

 今度は真広の反対の手を取ると、鞘を握ったままなので手と手はつなげないと判断したのか、一度その手を放して、誰かの手を真広の手首まで導いてくる。全員の手を繋がせ終わったのか、リーシャは最後に真広の手から鞘を受け取ると、パチン軽い金属音を立てて剣を鞘に納め、鞘の先端をまた真広に握らせる。途端に、鞘が前に動いて手が引っ張られる。どうもリーシャは目が完全に見えていて、あまつさえこのまま進むつもりらしいと真広が判断した頃には、真広の足はリーシャに従って歩き始めていた。

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