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77.謎の子供

翌朝。

島に行ったらダルンから修理した船を渡された。

徹夜で修理してくれたらしい。


僕は船2隻をマジックバッグに入れて変換をする。

そしてサングラスで船の確認をした。


○バルディ号

強度上昇(中)・操作アシスト(高)・事故防止


○リズディ号

強度上昇(中)・操作アシスト(高)・事故防止


海斬丸のようなモード変更はなかった。

それに名前が既に決まっている。

どうやればモード変更が付くのだろうか。


「とりあえずマジックアイテムにはなったからいいか」



昨日の夜、ドグドとアデスに普通のポラロイドカメラをあげた。

2人は嬉しそうにみんなのことを撮影してた。

リビングには写真が散らばっていた。


▽ ▽ ▽


午後の訓練はとても空気が良かった。

シゲ爺が指導者側になったことが大きい。


それにランヴォックさんとスオンさんが明るい。

多分シゲ爺とドグドとアデスの戦力を見て、海賊と互角の戦いが出来るかもと思ったのだろう。

ザン達もいるし僕の聖盾もあるから、かなり善い戦いが出来ると思う。


オクトンとカーレがモンスターを狩ってくるようになった。

海賊殲滅について来てくれるつもりで、鍛え直しているようだ。

モンスターの素材はみんなが上手く使ってくれるはずだ。


僕はランヴォックさんと武器無しの組み手をしている。

「テツジは何かやってたのか?」

「え?なんでですか?」

「経験不足は感じるが、うちの騎士と同じぐらい身体の使い方が良い」

「本当ですか。何にもやっていないはずです」

「はず?」

ランヴォックさんは不思議そうな表情をした。


実際『体術』『拳術』『盾術』をどうやって身についたか覚えていない。

全く覚えていないけど訓練とかしてたのだろう。


「ん?なんだ?」

組み手を続けていると身体に違和感があった。

ランヴォックさんの様子もおかしい。

周りを見るとみんなも何かを感じているみたいだ。


「なんですか?今のは」

「わからん。膨大な魔力を一瞬感じたが…」

ランヴォックさんも違和感の正体には気づいていないみたいだ。


ザンとクリフが僕の元にやってきた。

「今の何?」

「わかりません。身体に異変は起きてないので害は無いと思います」

「ランヴォックさんは魔力だって言ってたけど」

「はい。私もそんな気がしました。とても濃い魔力が身体を通り抜けたような感覚です」

「うーん。敵?」

「可能性はありますね」

僕達はランヴォックさんと話をし、周囲の警戒をすることになった。



僕とザンは海斬丸に乗る。

するとジラが乗り込んできた。

「あれ?ジラも行くの?」

僕が聞くと長い首をブンブン振って操舵室に入った。


「夜中にエレとジラとマオが海斬丸を操縦していました」

「え?どういうこと?」

「練習?ですかね」

ジラが前回の海上戦で船を操縦していた事は聞いたが、まさか練習してるとは思わなかった。


バルディ号にはエレ、リズディ号にはマオが乗り込む。

3隻は周囲に問題がないか確認をしに向かった。


▽ ▽ ▽


結局、異変は見つけられなかった。

あの違和感は何だったんだろう。


エレとジラとマオの操縦はかなり良かった。

魔力を前もって船に貯めておけば問題なさそうだ。



僕と小町は家に帰っていた。

ドグドとアデスはもう寝ている。

「哲ちゃん。あれって何だったんだろう」

「うーん。ノートを確認してみたけど、それっぽいことは書いてなかったんだよね」

「魔力なんだよね?サハギンの時みたいにモンスターがまた襲って来たりするのかな?」

「あり得ない話ではないね」

「その時は頑張んないとね!海賊も捕まえなきゃだし」

小町のやる気に満ち溢れていた。



▽ ▽ ▽



翌朝、別荘に行くとザンが待っていた。


「どうしたの?」

「テツジ様、昨晩侵入者が現れました」

「え?海賊」

「いえ。正体不明です」

「え?」

「ユイと言う女性を探している子供です」

「え?子供?女性?騎士にも女性は数人いたけど」

「ユイと言う名の騎士はいないようです」

「なるほど。とりあえず会ってみようか」


ユイという名の知り合いはいる。

僕の高校のクラスメイトだった女性だ。

さすがに関係ないとは思うが、名前を聞いて思い出した。


ザンは昨晩の話をしてくれた。

その子供がスオンさんの寝ている小屋に侵入していた。

しかも服を着ていなかったらしい。

ランヴォックさん達がスオンさんの悲鳴で起きて、ザン達が呼ばれたらしい。


海岸に到着するとスオンさんにくっついている子供がいた。

オレンジ色の髪の4歳くらいの男の子だ。

布を身体に巻いている。

多分騎士が服の代わりに巻いたのだろう。

スオンさんは正体不明の子供を少し警戒しているようだった。


「テツジさん!」

スオンさんは僕を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。


「この子、テツジさんのご家族ではないですか?」

「いえ見たことない子ですね」

「でも島にいるなんておかしいですよね」

「そうですね…」


僕はしゃがんで、子供の目線に合わせて話しかける。


「僕はどこから来たの?」

「うーん。やっぱりユイはいないんだ」

「聞いてるかな?君はどこの子?」

「ユイに早く会いたいなー」


子供は僕を無視する。

話し方が見た目と不相応だと感じた。


僕は無視されて傷ついたが、笑顔で再び話しかける

「僕?名前はなんていうんだい?」

「ん?お前、なんか雰囲気がユイと一緒にいた若造に似てるね」

「わ、若造?」

「ああ。リーヌからしたらお前なんて若造だ」

「リーヌ?」

やっと会話することが出来た。


「じゃあ若造から質問していいかな?」

「質問?いいよー。その代わりご飯が食いたい!目を覚ましてから何も食べてないんだ。スオンがテツジとかいうやつが来てからと言うから我慢してたけど、もう限界!」

「ん?色々気になるんだけど、とりあえず僕がテツジだよ」

「おお!お前がテツジか。じゃあご飯を頂戴!」

「いいけど、質問いい?」

「何でも聞いていいよ」

「名前教えてくれる?」

「リーヌ。フェニックスのリーヌだ」

「「「「え!!!!!」」」」

「ん?」

僕とリーヌの話を聞いていた人達が声をあげた。


僕はザンに目で助けを求める。

すると耳打ちをしてくれる。


「この世界には神級モンスターが3体いると言われています。伝説上のモンスターです。その1体がフェニックスです」

「ん?そんなモンスターがいるの?」

「はい。リヴァイアサン、ベヒモス、フェニックスの3体です」

「あーなんか聞いたことあるな。そのラインナップ」

僕の知識でも何となく知っている名前だった。


「君はそのフェニックスなの?どこからどう見ても人間の子供だけど」

「ユイが人族だから合わせているんだ。本当の姿が見たい?」

「うーん。大きい?」

「そんなことない。生まれたばっかりだからね」

そう言ってリーヌは飛び上がると炎に包まれた。


「うわ!」

炎は赤から青に代わり、とても綺麗な火の鳥が現れた。


「どう?これがリーヌの真の姿だよ」

「すごい…」

リーヌは僕の頭の上に乗る。

まったく熱くない。


「よし。質問には答えたよね。じゃあご飯をお願い」

「わかったよ。ちょっとだけ移動するからね」

「わかった!行こー!」

僕はリーヌを頭に乗せて別荘に向かった。


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